ビースティーズの次は、ファンクの帝王ジェームス・ブラウンも紹介しておかねば。
なぜかって、ファンクにおけるキメのフレーズの数々は、ヒップホップ・トラックとなにかと相性が良く、JBも数多のDJにこぞってサンプリングされてきた。そしてオールドスクール・ヒップホップにとって、ディスコ・ブームに飲み込まれる前のプリミティブなJBサウンドは、格好の素材集だったに違いない。
“ギヴ・イット・アップ・オア・ターン・イット・ルーズ”なんか、最高である。メイシオ・パーカーらの吹くサックスやら、ギター・カッティングやら、ベース・ラインやら、すべてにおいてかっこ良すぎて小便ちびりそうになる。
ちなみにJBは、バンドに機械のような正確なプレイを要求したことでも知られる。黒人のミュージシャンってどちらかと言うと、緻密なアンサンブルよりも自然発生的なグルーヴや即興性を大事にする傾向があるのだが、彼の場合は必ずしもそうではなかったらしい。
映像を見ると、彼は「ハッ!」とか「フッ!」とかってシャウト以外にも、「ヒィィィィー!」みたいなハンパない奇声を発している。まるでホーン・セクションを声で代替しているかのよう。バンドには正確さを求めるくせに、本人は好き勝手にアドリブに興じてる。要するに、自分が自由に動くためにも、バッキングはメトロノームのように正確に刻んでほしかったのだ。「お前らは俺のために、ただイカした演奏を繰り返せばいいんだよ」ってことか。
だって、本人に比べてJB'sは楽しそうに見えないもん。後ろの方でおとなしくしてるだけで、演奏を心から楽しんでいないように見える。ファンクって「楽しんでなんぼ」じゃないの?
JB'sの面々がジョージ・クリントンに次々と引き抜かれていった理由も分かるような気がする。「隣の芝生は青い」か。あの家はドラッグまみれでバカみたいに楽しそうだからねぇ。
なんにせよ、JBのような自由な音楽人は二度と現れないだろう。
http://pann.nate.com/video/214409253
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