図書館から借りてオペラを2曲聴く。何れもCDである。
ひとつは『タイース』
原作 アナトール・フランス(1844-1924)
台本 ルイ・ガレ/仏語
作曲 ジュール・マスネ(1842-1912/仏)
初演 1894年パリ・オペラ座
指揮 イヴ・アベル
演奏 ボルドー・アキテーヌ管弦楽団
出演
娼婦タイース ルネ・フレミング(s)
修道士アタナエル トーマス・ハンプソン(br)
ニシアス ジュゼッペ・サッバティーニ(t) 他
録音 1997-98年ボルドー
3幕7場/2時間26分
4世紀のエジプトが舞台。キリスト教の伝道初期の物語。
テバイードのアタナエルは若い宗教的熱意から、大都会アレクサンドリア一の娼婦タイースを、享楽的生活から改心させようとする。
説得が功を奏し、タイースは家も財産も火にくべ、砂漠を越え、アタナエルに従い尼僧院に入る。
その夜から、アタナエルは美しいタイースを夢に見、煩悶の日々を送る。
タイースは、贖罪の為、祈りと苦行を続け、終に死を迎えようとする。
アタナエルはその噂を聞き、修道院を抜け出し、尼僧院のタイースに会いに行く。
彼は、タイースにした天国の話など嘘だったと迄言い、愛を告白、生きさせようとするが、タイースにはもうアタナエルの言葉は聞こえない。
法悦の中に神を見、死んでいく。
“神の愛”と”人の愛”の相克と逆転がテーマ。
2幕第1場と2場の間にあるのが、『タイースの瞑想曲』という名で有名な間奏曲。
甘い甘いメロディーが次から次へ出てきて、少々辟易とするが、しかし、最後の死と、愛の逆転の場面には感動を避けられない自分がいるのに驚きもする。
それには、当然ルネ・フレミングの歌唱と表現力もものを言っている。CDだから演技は観れないのだが、音だけでも充分に伝わってくる。名演だと思う。
フランスのグランド・オペラだから、当然バレエのシーンが、2幕第2場に10分も、しっかり用意されている。
(続く)
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