■高見順
▼土橋治重「永遠の求道者−高見順」(現代教養文庫794)
昭和48年8月30日 初版第一刷 240円
いい「本」だったという記憶がある。
ところどころ、赤線を引いて読んでいる。
「高見順」をどうして読もうと思ったのだろう。
鶴見俊輔・松田道雄など「思想の科学」系列からではないような気がする。
福地幸造の部落解放教育の系列や、長田弘の詩の系列でもない。
土橋治重は、彼の「詩」で知っていた。
だから、学生時代にお世話になった、社会思想社『現代教養文庫』の棚に、
この「本」を見つけたのかもしれない。
▼しかし、この「本」をいい「本」だと思い、「高見順」のことを思い出すのは、
もっと別のところから来ている。
それは、中学か高校で、山本有三や島木健作に偶然出会い、
「路傍の石」や「赤蛙」に共感した頃の、まだ斜に構えずに、まっすぐに物を見ていた
ころの自分につながる系列のものである。
▼負けるくせに、負けず嫌いのプライドみたいなものを強固に
持ち続けた一群の人々。
「自分を嗤うには、十年早い」と書いたが、私が自分の敗北を素直に認めたのは、
ずっとずっと後のことであり、敗北することもできずに、悶々として日を過ごしていたときに
この「本」に出会ったのだと思う。
▼来月は、「今月の花」に関係なく、高見順の「詩」を紹介しようと、思う。
しかし、残念ながら、「灸をすえる」ところまで、話は及ばなかった。
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