mixiユーザー(id:1040600)

2006年01月24日23:48

58 view

●寄り道ついで (30)/■アキラ

■「自分と同じレベルの大切なのが、
  ひとりからふたりになった」


 ・娘がアキラを選んだのは、「アキラはやさしい」から
  だという。しかし、誰が見ても、アキラは優しそうには見えない。

  http://mixi.jp/view_diary.pl?id=72664948&owner_id=1040600


 ・アキラは、誰が見ても「恐そう」に見える。通りすがりに
  目があったら、たいていの人は、必ず目を伏せるだろう。

  サングラスなど掛ければ、十分、「ヤーサン」で通る。


 ・中学を卒業して、セメントを運ぶ運送会社で働き出し、
  免許をとってからは、トラックで近畿・北陸・中国・東海
  などの工事現場にセメントを運んでいた。


  この業界では、遠慮していては仕事にならない。顔に睨みが
  なければ舐められる。



 ・娘と結婚したときも、まだこの会社にいた。セメントは重たい。
  その粉は、目にはいる。肺にも入る。大きな柄をしているくせに
  風邪をひき易いのはセメントを吸うせいかもしれない。


 ・「じゃりんこチエ」のテツは愛嬌があるが、テツから、その
  愛嬌を引いたのがアキラだと想像してもらえばいい。


 ・結婚して、最初の子・ショウが生まれた次の年、
  
  「お父さん、お母さん。年1回くらい、一緒に旅行に行こう」
  と言い出して、1歳半くらいのショウもいれて、私たち夫婦と
  娘夫婦とで奥道後にアキラの車で行った。


  神戸から淡路を通り、徳島・香川・愛媛と向かった。お盆のころで
  道は渋滞していた。


  いらつくアキラは窓を開けて、ところかまわず怒鳴り散らす。
  「こらっ、どこ見て運転しとんのか。どかんかい。
   このアホ、ボケ!」

 ・しまいには、娘のサイコに八つ当たりをする。
  後ろの座席で、泣いている娘を見ながらじっとがまんしていた。

  私たち夫婦は「温泉気分」どころではなかった。荒い運転に
  ハラハラするだけなら我慢もできようが、アキラの横暴に耐え
  かねていた。
  しかし、ここで私が怒鳴れば、どうなるか。旅行は惨憺たる
  ものになるだけでなく、娘にそのツケが回ってくるのは目に
  見えていた。


 ・なんとか、奥道後で一泊し、松山城見物を乗り切り、帰途に
  ついたが、淡路・大磯から長田港行きフェリーが4時間か
  5時間待ちだった。

  夜も更けていた。みんな疲れていた。もうくたくただった。
  臨時のフェリーも出されたが、一隻出航しては車を少し前に進め、
  乗船までには気の遠くなるような時間だった。


 ・狭い車内で、ショウはむずがりはじめる。娘があやし、妻が
  外に連れ出しあやしても、ショウは泣いていよいよ困り果てていた。

  するとアキラが突然、娘の腕からショウをうばって車からどこかに
  消えた。

  どこに行ったのか。不安でならなかった。
  ショウに何をするのか。探しに行こうかとも思った。

  30分ほどしてアキラはもどってきた。
   「わかったか。静かにしとけ!」

  あれほど、むずがり泣いていたショウが、口をつぐんで肩をふるわし
  泣くのを必死でこらえていた。たった二歳にも満たない子がである。



 ・私は、アキラがショウに何をしたのかは知らない。
  しかし、私にはない何かがアキラにはあり、それがそんな幼子を
  して「断念」ということをしつけていた。


 
 ・アキラは子供好きである。子供たちもパパ大好きである。
  ショウは、最近はアキラのことを「オヤジ」と言うようになった。
  チカもときどきパパを批判する。

  私はこの歳になって、自分の「父」をある程度理解できるように
  なったが、生きている間、決して好きになれなかった。


 ・「1000」さんや「$onn\」さんの部屋でよく見かける「うんこ」
  さんのページに、こんなのがあった。

  http://mixi.jp/view_diary.pl?id=78475418&owner_id=491872


    「羽包む」  中井 佐和子

     http://www.jvc-victor.co.jp/tvf/28th/tvf2006/list.html



■案内
 ・日記「総目次」 −テーマ別−
 ・「Home」&「更新記録」


0 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する