■「わかば」
・淡路に寄った折、腸閉塞で倒れた叔父から「わかば」をもらった。
「わかば」は、私が大学生の頃、新発売になったタバコ。
・母は、「根性がさもしくなる」といって私のタバコを嫌ったが、
私は「いつでもやめられる」と、二十歳からタバコを吸いはじめ、
1週間くらいの禁煙はしたものの、爾来四十年、ずっと毎日
吸い続けている。
・銘柄では、両切りの「ピース」が好みだった。しかし、「ピース」は
値段が高かったので、貧乏学生の私は「わかば」が発売になると
それに切り替えた。
・それからずっと「わかば」を吸っていた。結婚式などで
「わかば」をテーブルに置いていると、親戚から顰蹙を買った。
「わかば」には、貧乏人の安物のタバコというイメージがある。
・駅の売店、町のスタンドなどで、「わかば」が手に入らなくなり、
私は「ハイライト」に銘柄を変えた。「わかば」に味が近く、
値段も相対的に「手ごろ」だった。
・「ハイライト」に切り替えてから、もう「わかば」を吸うことは
なかった。たまに淡路に行った折、手持ちの「ハイライト」が
切れ、叔父の「わかば」をもらって吸った。やや草くさい味がした。
叔父は、私がむかし「わかば」を吸ってたことを知っていたので、
このたび淡路に寄ったとき、それを私にくれたのだ。
・「やめたわけではない。まぁ、しばらく休憩だ」といって
叔父は買い置きの「わかば」1カートンを私にくれた。
■1月1日付け
・その「わかば」がなくなり、おとといの日曜日、家から妙法寺駅の
自動販売機にタバコを買いに出た。そのまま帰れば20分もかからぬ
外出だが、外に出ると、つい寄り道をする。
・駅のそばに小さな本屋が二軒ある。ほとんど目新しい本はない。
平台や棚に並んだ本を順にながめていく。
「新刊」で置かれているのは「バカの壁」や「下流社会」のような、
すでにベストセラーになった本で、三流映画館の「ふるびた」感じで、
ほこりがたまったように並べられている。
・藤原正彦「祖国とは国語」を買う。著者の文章は新聞や
ほか何かの印刷物で読んだことはある。数学者であり、その専門に
関する随想などもあることを知っている。
しかし、とりあらためて「読もう」と思ったことはない。
買った理由はタイトルにある。私の思いが「タイトル」と
同じだったからである。
私の「本」が増える理由はいくつかあるが、もっとも最大の原因は
てもちぶさたにある。
タバコと同じで、空きの時間を埋めるのに、「本」が入る。
ぶらぶらしていては「本屋」に入り、喫茶店に入っては
「本」を開く。
・タバコを買った後の寄り道は、定番の「カフェ・グレイス」。
そこで開く「本」がなかったので、この「本」を買ってしまった。
たまたま買った「本」ではあったが、奥付を見ると
「平成十八年一月一日発行」とある。
私は、期せずして、新しい年の1ページを開いてしまった。
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