■「ちくま少年図書館」
昨日の「日々雑感」に書いたように、悩んでいたとき、どの本を読んでも
著者の「衒い」や「技巧」が鼻につき、そしてどこかに
「嘘」を感じるようになって、「本」がうとましくなっていた。
そんなとき、ひょこっと覗いてみた図書館の児童書のコーナーで
見つけたのが、この「ちくま少年図書館」である。
もう30年程まえのこと、どれを最初に読んだかは忘れてしまった。
秦恒平「日本史との出会い」だったろうか。それとも高史明の
「生きることの意味」だったか、鎌田慧の「ぼくが世の中に
学んだこと」だったか。
どれかはっきりしないが、感銘を受けた。子供に語りかけるとき、
相手が「大人」であれば見せる「背伸び」がなく、素直に
正直に著者の気持ちが行間から伝わってきたからだ。
私は、二冊目、三冊目と読み進んだ。決して「少年向け」でない、
「大人向け」の「本」に期待できない、高い「質」をそなえた
「本」たちに出会った。
このシリーズは、「社会の本」「歴史の本」「心の相談室」
「創造の広場」など、ジャンル分けがしてあり、私はこれまで
大人向けの本では手にしなかったジャンルの本も読んだ。
それらは、私に、それらの分野の入門書となるだけでなく、
その分野の人々がどのようなことを真剣に考えているか、という
ようなことも知った。
考古学、沖縄、森林、手品、報道、学問など、大学では感じなかった
新鮮さで、それぞれのジャンルの「知」に触れた。
■大人が子供に「語りかけない時代」
子供がすでに「親」や「大人」の底を見透かしてしまっている。
それもそのはず、社会のリーダー達が率先して、犯罪を犯し
わが身だけのことを考えている。企業のトップの失敗が企業を
傾け、その責任を下に転嫁して恥じない。
かえって「不良」と呼ばれる「大人」の中に「大人」がいたりする。
私は、色川武大「うらおもて人生録」のように、昔は子供たちに
「おっちゃんはナ・・・・、だからお前たちは・・・・」と
語りかける「大人」が大勢、まわりにいたような気がする。
「タバスコ」さんの日記にも、そんなことを書き込んでみた。
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=41368137&owner_id=79707
■前号(順不同10)を読む
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http://mixi.jp/view_diary.pl?id=40216686&owner_id=1040600
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