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2005年09月19日15:10

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●順不同 (7)

■言わずもがなのこと

 私は、前回、現代の「親殺し」「子殺し」「夫婦・他人殺し」の
 ことについて書くことを予告していた。私の心積もりは
 私の住んでいる所から2キロと離れていない場所で起きた
 「殺人事件」について触れ、それと柳田國男「山の人生」の話を
 対比して、そこから見えてくる事柄を書こうと思っていた。


 近所で起きた殺人事件とは、ひとつは「酒鬼薔薇聖斗」の事件、
 もうひとつは、私が毎朝通う椿谷公園横の路上で起きた主婦殺害事件。


 しかし、私はもうこれについては書かない。
 私にそう思わせたのにはひとつの理由がある。


■憑き物が落ちる

 旅行から帰って、このmixiを開けたら一通のメールが届いていた。
 それは、私がメールの主のページに書き込んだ内容に関しての
 クレームであり、書込みを削除した、という文面であった。

 私は、映画制作を志している青年と見受けられるその人のページに
 好感を抱き、私も自称「映画好き」であること、私と映画とのかかわり、
 そして、年譜風に幼少期から働き始める頃までの期間の
 私に影響を与えたその年々の作品タイトルを書いた。


 しかし、メールをくれたその人は、私の書き込みが
 コメントになっていない、自分のことばかり「宣伝」している、
 自分のページの書込みにふさわしくない、したがって
 削除したとの通告であった。


 たしかに「自分を語る」に過ぎることはそのとおりであるが、
 それは、相手と絡みたいからである。「そうですネ」とか
 「すごい!」 とかの一言よりも、
 書き込む人の考えたことや書込みさせた動機などを
 私ならば、より歓迎するという思い込みがあったからである。


 しかし、それはとんだお門違い、一人合点かもしれなかったことに
 気づかされた。正直、冷や水を浴びせかけられたように思った。


 旅行の目的も達し、帰神すれば、季節の変わり目。
 私はしばらく声もなく、この二ヶ月の自分を振り返った。
 「はしゃぎすぎ」そんな声が聞こえてくる。

 「あぁ、正当に歳をとらねば」と自戒する。若いときは自分をより多く、
 語りたいものだ。そして、自分を確立するための自己表現を求める。
 だが、ありがたいことに、私はもう語ることは必要ない。ただ、
 頷くなり、世界が私に振り与えてくれるものを享受すれば
 いいのだ。これに尽きる贅沢がどこにあろう。
 分を超えて、何を語ろうというのか。

 憑き物が落ちたように、静かに秋の深まりの中に身をおいている。



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