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2005年09月05日21:24

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●順不同 (3)

■五木寛之(著)「青い鳥のゆくえ」

  不急不要、「順不同」としてメモ書きしておいた
 五木寛之(著)「青い鳥のゆくえ」について書く。
 また、この「本」で提出されている「幸福さがし」ということ
 について書きたいと思う。

  本書は、1995年7月に発刊された、たかだか68ページの
 小冊子ではあるが、その内容は重い。

  この本の「青い鳥」とは希望・幸福の象徴としての「青い鳥」
 であり、チルチル、ミチル兄妹の、あのメーテルリンクの
 「青い鳥」である。
  私は知らなかったが、メーテルリンクは1949年(私が4歳のとき)
 に亡くなり、1911年にはノーベル賞(文学賞)を受賞した
 「現代作家・脚本家」である。


  私は「青い鳥」を、子供向けの「幸福探し」の物語で、
 「幸福は身近なところにある」というメッセージを子供たちに
 伝えるためのお話だとずっと思ってきた。

  しかし、この本を読んで、メーテルリンクはそれとは全く異なる
 メッセージをこの「青い鳥」で伝えようとしていたことを
 知った。


  私たちがよく知っている物語は、クリスマス・イブの夜、
 貧しい木こりの家に住む二人の兄妹が、道を隔てた金持ちの家を
 ながめているシーンから始まる。

 キラキラと輝く飾られたツリーのそばのテーブルには
 おいしそうなご馳走やケーキが並び、やがてお客もやってきて
 楽しいパーティーがまさにはじまろうとしている。

  そんな様子が書かれたシーンから始まり、兄妹の会話が聞こえる。

  この兄妹は、もともと九人の兄弟姉妹であったが、
 そのうち七人が死んでしまい、いまでは、このチルチルと
 ミチルの二人になっている。

 妹は兄にたずねる。
  「どうして、あの人たちはいっぱいご馳走があるのに
   すぐに食べないの」

 兄は答える。
  「あの人たちはお腹がすいていないんだ」

  「お腹がすいていなって、どういうこと」
  「それは、あの人たちはいつでも食べたいときに
   好きなものが食べられる、ということさ」

  こんな会話をしているところに、魔法使いのお婆さんが
 やってきて、幸せになりたがっている病気の可愛そうな娘のために
 幸せになれるという<青い鳥>を捕まえてきてほしい、
 と頼まれる。

  それで二人は<青い鳥>を探すために、不思議なファンタジーの旅に
 出発する。


  <想い出の国>で捕まえた青い鳥は、実は黒い鳥だったり、
 <夜の宮殿>で捕まえた青い鳥は、光の中で死んでしまったり、
 森の中をさまよい冒険し、長い旅をするが、結局二人は
 青い鳥を見つけることができず、悄然と家に帰り一夜を
 明かす。

  翌朝、まるで「夢」から覚めたように、二人は目覚める。
 そして、ふと部屋の隅を見やると、そこに二人が飼っていたキジバトが
 鳥籠の中で、くすんだ色の羽を少しずつ青く変えて域いき、
 しだいに輝く青い鳥に変身していく。

  二人は驚き、兄は叫ぶ。
 「見てごらん、青い鳥は遠くではなく、こんな所にいたんだ」と。


  ここで話が終われば、ハッピーエンドで私たちの知っている
 「青い鳥」である。


  だが、本当の物語はここから始まるのだ。
 兄妹は「青い鳥」をもって、病気の娘を訪ねる。娘は
 礼を言って、「青い鳥」の鳥籠を手に取る。すると、
 どうしたことか、娘はみるみる元気になる。

  (このあたりで、お仕舞いにしてもハッピーエンドだ)

  元気になった娘は、
 「この青い鳥、いったい何をたべるのかしら」と問う。
 兄は、「いろいろ食べるよ、ちょと貸してみて」と
 鳥籠に手を伸ばすと、娘は
 「いや、これは私の青い鳥よ」と鳥籠を渡そうとしない。
 そこで、二人は籠を取り合い、そうしているうちに中にいた
 「青い鳥」がはずれた扉から飛び出して、空高く舞い、遠い
 空のかなたに姿を消してしまう。

  とり残された三人は、空になった鳥籠の前で呆然とする。
 娘は絶望の叫びをあげて泣き、ミチルもくずおれる。

  チルチルは舞台の前にすすみ、観客に向かってこうつぶやく。

 「誰か、あの青い鳥を見つけた人は、どうか僕たちに
  返してください。 僕たちは、幸福に生きていくためには
  あの青い鳥が、どうしても必要なんですから――」
 
  これが戯曲としての「青い鳥」の全容である。
 脚本として書かれた「青い鳥」は、チルチルの悲痛なうめきを
 観客に投げかけ、幕が降りる。

  
  この話を枕に、五木寛之の話が始まる。
 だが、きょうはもうここでやめよう。話が長くなってきている。
  続きは日を改めて書く。
 「かなわぬことを願ってはならぬ」という山田太一の言葉と
 どうつながるのか。「幸福」ということ、「幸福探し」といことについて
 もう少し語ってみたいと思う。

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■次号(順不同)を読む
 ・http://mixi.jp/view_diary.pl?id=36448121&owner_id=1040600

■前号(順不同)を読む
 ・http://mixi.jp/view_diary.pl?id=33772905&owner_id=1040600


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