■むしろ爽快
朝、妻が言う。
「やけに、ミンミン蝉が鳴いているじゃない!」
ほんと、やけに鳴いている。クマゼミではない、
ミンミンゼミだ。
夕方、こんどはツクツクホーシが必死で鳴いている。
季節の移り目、蝉の声にも「もののあわれ」を感じる
というものを、どうしてか今年は、セミは「焼けのやん
ぱち」叫ぶように鳴いている。
「これがセミ生!」「これがセミの世!」
とでも言ってるかのように、
雨があがって、ものぐるおしく鳴く。
「あわれ」を吹飛ばす、今年のセミの鳴きように
私は、むしろ爽快さを感じた次第。
■元請け・下請け・孫請け(1)
今の職場は、「9:00-17:00」が対居住者への営業時間。
しかし、職場の点呼は8:10。管理組合から業務委託を受け
ている市の住宅供給公社は、われわれの出勤状況をこの
時点で把握する。
公社の下に大手セキュリティー会社が業務の下請けをし、
私たちはその会社の下で、孫受け企業のパートとして、
このマンションの管理人をつとめている。
私たちの就業規則は「8:45-17:15」が勤務時間。
孫受け企業の悲しさ、委託契約で始業・終業各15分、
はじめから公社にサービス残業し、私たちには賃金を
払う。
それなのに、公社は朝の点呼を8:10にすることで、
さらに、私たちにも35分の「無給早出」を常習化する。
お役所は強い。ほんとの始業の50分前から私たちはスタ
ンバイする。帰り、私たちは5時になるとサッサと玄関の
鍵を閉め帰り支度をする。そして5:15を待つかのようにして、
FAXを入れる。
公社とセキュリティ会社とわが社にそれぞれ「日報」を
入れ、放火犯が現場から遁走するように一目散に職場を
離れる。「江戸の敵を長崎で討つ」せめてもの抵抗。
しかし、これも居住者の5時寸前の電話一本でついえ
さる。
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