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2026年10月19日00:34

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YERMA(イェルマ)

兵庫県立芸術文化センター(中ホール)で見てきたお芝居です。
「ストレートプレイをもっと見よう」運動の一環として…のはずでしたが、結局決め手はゆうみちゃん(咲妃みゆ)でした。退団してからまだ見たことがなかったのですが、実はかなりの演技派なので、今どんな芝居をするか見たかったのです。

「イェルマ」はスペインのガルシア・ロルカが1934年に書いた戯曲です。今回はこれをもとに現代に作り直して上演されました。
作はオノマリコ、構成・演出は稲葉賀恵。

舞台は幕がなく、一面白い壁の舞台に上手にソファと足元にラグ、下手にダイニングテーブルらしきもの、あとワゴンなど生活用品があちこち。開演時間になったかな、と思うビミョウなころにイェルマ(咲妃みゆ)が無言ですーっと登場し、部屋のあちこちのスイッチを操作します。そのたびに照明が変わります。客電も明るくなったり暗くなったり。そして後ろの白い壁の一部を引っ張ると、黒くて四角い空間が出現します。

そうしてラグに横になってじっとしていたら、夫のフワン(渡邊圭祐)が入って来て、ビジネスバッグを持って出かけようとします。イェルマが起き上がって朝ごはんを作ると言っても、いらないと言って出て行こうとします。後ろの四角い空間の向こうに玄関があるようです。そうして出て行こうとするフワンにイェルマは「今日、排卵日だから」と声を掛けます。フワンはそのまま退場。

そしてイェルマはお腹に手を当てながら、いつかやってくる子供のことを歌いに歌います。歌があるんだー。
そしてパソコンで友人のマリアと会話。マリアは妊活が成功して妊娠したとのこと。舞台の上なもので、マリアがイェルマに近寄ってきたりします。イェルマはマリアに自分とフアンは「友情婚」だと言います。二人は大学時代のサークルで知り合って、社会人になってからも会っていました。イェルマは適応障害で会社を辞めてしまいましたが、そこへフアンがプロポーズしたということ。子どもが欲しいというイェルマのために結局排卵日だけセックスするんだそうな。

この家にいるのはフアンの姉と、居候のビクトル。ビクトルが元カノの話をしたら、その元カノも舞台に登場、さらに後ろの黒い空間から「老婆」という役柄ですが、普通の年配のおばさんみたいな女性が出てきます。これが渡辺いっけい。

こういった人たちが行き交って、セリフを言って、象徴的な場面なのか現実なのかがわからなくなっていきます。
適応障害ということで、メンタル面での問題が姿を表しているのかもしれません。

フアンはやさしくて、イェルマに「何もしなくてもいいよ、ただ休んでいればいいよ」と言ってくれるのですが、実はそれがイェルマの問題でもあるのです。何をしていいかわからない。誰の役にも立たない。自分は何のためにいるんだろう。そんな悩みと焦りにとらわれているのです。子どもが欲しくて妊活しているのも、子どもがいれば「子育て」ができるようになる…という期待があるのです。

お芝居の後半、イェルマがパソコンと電話を使ってテキパキ仕事をしている場面がちょこっと出てきます。これを見たらイェルマは有能だったんだろうなと思います。だからこそ何もすることなく家にじっとしているのが苦痛だったのだろうと思います。

そんなイェルマが自分の存在価値を求めてあがく様子がこのお芝居をずっと貫いていました。そしてそんな時はどうしても「正解」にはたどり着けません。

全く現代に落とし込まれた内容になっているので、現代的な問題として見られるようになっていました。原作がどうなっているのかはわかりませんが、どうやらラストは原作通りらしい。かなりとまどうラストでした。

ゆうみちゃんはイェルマを大げさな熱演でもなく、自然にイェルマのやりきれなさ、そのための行動の一つ一つを説得力を持って演じていました。見た目は相変わらず可憐でかわいいのですが。


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