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2026年06月01日01:33

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「シルクロードの商人(あきんど)語り」展

国立民族学博物館でやってる特別展です。
サブタイトルは「サマルカンドの遺跡とユーラシア交流」で、ウズベキスタンの協力の下で開かれた展覧会です。

https://www.minpaku.ac.jp/ai1ec_event/63237

まずはサマルカンド近郊のカフィル・カラ遺跡の発掘成果から。
動画による遺跡全景と、平面図とその解説。サマルカンド考古学研究所と国立民族学博物館が共同で発掘調査を行ってきたそうです。
ここで重要な発見は、女神ナナの木彫板です。火事で燃えたらしく、黒く炭化した状態で見つかりました。炭化したから腐敗しないで残ったとみられます。女神ナナの椅像を中心に礼拝者などの群像がびっしりと彫られています。ナナが座る姿は石窟寺などに見られる弥勒像に似ています。女神ナナは大きく周辺の人物はその半分ぐらいの大きさです。

礼拝者の姿は様々で、香炉を捧げていたり錫杖を持っていたりします。また、楽隊もいて様々な楽器を持っています。当時中央アジアで使われた楽器で、箜篌を持っている人もいます。排簫も見られます。琵琶を持っている人もいますが、興味深いのは、四絃琵琶と見られる琵琶のほか、五絃琵琶とも見られる琵琶があることです。四絃琵琶は古代ペルシアの「バルバット」を起源として、西に行ってリュート〜ギターの元になり、東に行って中国から日本にまで伝わりました。五絃琵琶はインド起源で、北に行って亀茲国(クチャ)に入り、そこから中国に入りました。そのため中国では「亀茲琵琶」とも呼ばれました。五絃琵琶は唐代までは使われましたがその後すたれました。日本でも四絃琵琶が残って五絃琵琶はすたれました。なので、四絃琵琶と五絃琵琶が共存していた地域と時代は限られているのですが、サマルカンド近郊でもこの二つの琵琶が共存していたとしたら、五絃琵琶は西の方にも伝わっていたことになり、とても興味深いことです。

その他出土品がたくさん展示されていました。
獅子のメダリオンのついた胸飾り、象嵌の装飾品、金の垂れ飾り。封泥がたくさん展示されていました。封泥の図柄はシカやグリフィンなどの動物、ギリシアの女神、神々。コルヌコピア(豊穣角)を持つ女神もいて、ニヤの織物の図像を思い出しました。
貨幣も展示されていました。ソグドでは古代ではギリシア系の貨幣が使われていましたが、次第にペルシアの貨幣や中国の貨幣も使われるようになっていきました。ソグドの王名を刻んだ貨幣もあります。その中には中国風の四角い穴が開いたものもありました。アッバース時代のアラビア文字の金貨も有りました。

土器もいろいろ。
水差し、把手付きコップ、壷、そしてオツスアリ(納骨器)。ゾロアスター教で鳥葬をした後残った骨を収めるためのものです。

カフィル・カラはサマルカンドの王の離宮または祭祀に使われた場所ではないかと推測されています。

また、サマルカンド周辺の他の遺跡の出土品も展示されていました。その中に漢字が書かれた銅鏡もありました。原料の配合比が中国のものと異なっており、中国の影響下で、おそらくは新疆ウイグル自治区のどこかで作られた可能性が高いそうです。

次の展示はソグド人に関するものです。中国で発掘されたソグド人の墓の拓本や、ソグド人とみられる小像があります。
それから正倉院の伎楽面の複製。特に酔胡王など掘りの深い顔はソグド人を思わせます。

楽器の複製もあります。正倉院の螺鈿紫檀五絃琵琶もあり、中国で敦煌の壁画を元に復元制作された琵琶、箜篌、排簫など。
金属器の碗、八曲長杯、皿など。
織物類は、連珠文や動物が向かい合う図柄など中央アジアらしい文様のものがいろいろ。
ソグド語の文書の断片もいくつか。ソグド文字はアケメネス朝時代の「帝国アラム語」の文字を基盤に、徐々にソグド語の表記に適応するように変化していったものです。ソグド語は中央アジアの貿易に使用する共通語としての機能を持つようになり、広範囲にわたってソグド語の文書が見られるようになりました。ソグド文字は仏教経典、マニ教、キリスト教の文書にも使われました。アラブ人の征服によってソグド語は衰退していきましたが、ソグド文字はウイグル文字に変化して使われるようになりました。そのウイグル文字はモンゴルのパスパ文字に影響を与えました。

それから、私にとって目玉商品、アフラシアブ壁画。アフラシアブはソグド時代のサマルカンドの遺跡です。チンギス・ハーンが滅ぼして廃墟にしてしまいました。その後ティムールがその近くに新しいサマルカンドを作りました。これが現在のサマルカンドです。
アフラシアブの遺跡から大広間の壁画が発掘されて、今ではアフラシアブ遺跡博物館に展示されています。アフラシアブの壁画が南壁、西壁、北壁、と実物大で再現されています。模造品とはいえ実物大で、再会できてうれしい。本ではこの大きさは実感できませんからねえ。壁画をしつらえた部屋の中央部には中国の俑から、ラクダがならんでいます。ソグド人もいます。こういう組み合わせが同時に見られるのもおもしろいですね。

で、ここまで第1部で、ここから第2部。近現代のウズベキスタン周辺から集められた展示です。
馬の鞍に鞍袋。ラクダの鞍、掛け布。ロバ用の二輪馬車は、新疆ウイグル自治区でも似たようなものを見ました。
キルギスの男女の婚礼衣装、サマルカンドの男女の婚礼衣装。婚礼の映像も流れています。たくさんの人がにぎやかに歌い踊っています。ウズベキスタンに行った時、こんな感じだったな…。ほんと、みんなにぎやかに踊る。
花嫁の持参財用の織物類。スザニという刺繡。

「ノウルーズ」のお祝いの紹介。「ノウルーズ」は古代ペルシアでは春分の日を1年の最初の日として祝ったもの。昔のソグド人の地域はペルシア文化圏でもあったのですが、その習慣が今でも残っているのです。カレンダーもノウルーズを祝日にしたものが使われています。
現代でも使われている民族楽器いろいろ。

バザールの紹介写真。
陶器いろいろ。ユーモラスな人形や、青をベースとした濃い鮮やかなお皿やティーセットはウズベキスタンに行った時によく見ました。
サマルカンドの古い写真が4点ほど展示してありました。ビービー・ハーヌィムやレギスタン広場で、今は観光化されてきれいなレギスタン広場が屋台のようなお店でごった返している写真です。レギスタン広場のそばの博物館に行った時に見た古い写真と同じかわかりませんが、昔のごちゃごちゃぶりがおもしろいなーと思いながら見ていたことを思い出しました。

ちなみに、この展覧会のために、「乙嫁語り」の森薫先生がオリジナルキャラを作りました。老若男女6人のキャラで、展覧会場の各場所で案内役を務めています。

さらに、博物館内のレストランでは展覧会コラボメニューがありました。ラグメンとかプロフとかあったので、プロフを食べました。中央アジア風焼き飯です。上に鶏肉が載っています。
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