「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書」
石光真人 編著
中公新書
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/12/180252.html
前から気になっていた本ですが、ようやく読みました。
柴五郎は会津藩士の子で、戊辰戦争に敗れてより苦難の人生を歩みましたが、その時の記録を晩年に石光氏に託し、それを本にしたものがこれです。
私は以前より戊辰戦争の薩長の欺瞞に憤りを感じるようになり、大河ドラマ「八重の桜」を見て、戊辰150年の時に会津へ行って会津の無念をヒシシと感じるようになりました。
となると、この本はまさしく読むべき本です。
会津攻撃の時、柴五郎氏は10歳。いよいよ敵が攻めてくるという時、母から城下にいる父の元へ行けと促され家を出ました。その後家に残った母、祖母、姉妹は皆自害したということです。
会津はその後下北半島に斗南藩として改易されますが、柴五郎は父とそこに移り住み、着るものにも食べるものにも事欠くつらい生活を強いられます。雪に覆われたやせた土地で、とても藩士一同を養うことなどできない土地でした。そこに掘っ立て小屋を建て、作物の育たない土地を開墾し、寒さに震え飢えに苦しむ日々…。
帯に「涙なくしては読めない」と書いてありますが、本当に何もかもが気の毒で気の毒で、どうしてこんな仕打ちを受けなくてはならないのかと、なお一層薩長に対する憤りが湧きあがりました。
その後柴氏は東京へ出て立身の道を求めることになり、山川大蔵氏のもとへ身を寄せます。
そして陸軍幼年生徒隊の募集に応じて合格し、やがて陸軍士官学校に進みます。
浅田次郎の「蒼穹の昴」で、北京に伊藤博文が来ている場面がありますが、伊藤博文の随行員として柴五郎の名前があります。読んでいる時はあまり実在の人物とか気にしなかったのですが、こういった経歴の人だったとは。この場面は宝塚版でもクライマックスの重要な場面で、柴五郎は叶ゆうりが演じていました。
明治維新が「日本の夜明け」と能天気に信じている人にこそ読んでほしい本です。
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