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2024年03月25日17:57
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四天王寺宝物館と極楽浄土の庭
2月の大阪行に続いて今回の四天王寺、「日想観」については昨日のレポートに書いた。
日没前の時間は、前回観る事ができなかった宝物館と庭園に足を運んだ。
境内Mapは昨日の日記を参照頂きたい。
寺は春季彼岸会で、古着やら器やら我楽多やら、たくさんの出店もあり、賑わっていた。
中心伽藍の東側にある宝物館では、常設展と春季名宝展「四季折々の四天王寺〜絵画にみる近現代の彩り」を開催中だった。
・会期 3/９〜5/5
下村観山、堂本印象、菅楯彦、生田花朝ら、四天王寺にまつわる作品の特別展示を入れて、総展示30件余り。
チラシ作品は菅楯彦。
こちらは下村観山(1873-1930)の《弱法師(よろぼし)》(1915頃)/四天王寺蔵。
下村が同じ構図で六曲一双に描いた同タイトルの大作は、東京国立博物館にあり、重要文化財。
こちらはそれを42×119cmに収めたもの。
謡曲『弱法師』は、業病に侵され盲目となった青年俊徳丸が、四天王寺の救世観音に助けられたという俊徳丸伝説(文楽/歌舞伎の『摂州合邦辻』の基ともなっている)から、観世元雅(?-1432)が作ったもの。
春の彼岸会、四天王寺西門(極楽門)にて、弱法師が極楽往生のための「日想観」を行う場面。
平安時代以降、同門は極楽浄土の入り口と信じられ、浄土信仰の聖地となった。
菅楯彦(1878-1963)の《龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)図屏風》(大正〜昭和前期)六曲一双と、その女性弟子 生田花朝(1889-1978)の《極楽門の春》(1965)、共に四天王寺蔵。
前者は東京ステーションギャラリーの「大阪の日本画」展(’23.4.15-6.11)に、後者は前回の大阪行で観た中之島美術館の「女性画家たちの大阪」(’23.12.23-’24.2.25)展に出品されていた。
生田の《極楽門の春》は、聖霊会(聖徳太子の命日(*1))の日に極楽門で遊ぶ子供達を描いている。門の奥には、石舞台を飾る曼殊沙華と五重塔が見える。子供達の中には「迦陵頻」や「胡蝶」の装束を着ている者もいる。
(*1)旧暦では2/22、新暦では3/下、現在は4/22に行われるようになった。
極楽門の朱の柱には「転法輪」が取り付けられていて、女性と子供がそれを回している。
「転法輪」は、仏の教えが人から人へと広がっていく事を象徴している。
私も、訳も知らずに回してきた。
次は、中心伽藍の北東にある庭園、通称「極楽浄土の庭」である。
広さは1万�屬涼喟�廻遊式庭園。
自然の湧水を利用した2つの河「水の河」(*2)と「火の河」(*3)、その間を抜ける「白道」(*4)を進むと「瑠璃光の池」から「極楽浄土の池」に行きつく構造になっている。
白道は細く造られており、ここを訪れた者は2つの河に落ちないよう気をつけて歩かねばならない。
(*2)衆生の貪りや執着を表す。
(*3)怒りや憎しみを表す。
(*4)善心と信仰心を表す。
「瑠璃光の池」にある薬師の滝。
「極楽の池」と八角亭(*5)
右手に阿弥陀三尊石が見える。
(*5)1903年第５回内国勧業博覧会において「小奏楽堂」として建てられた。その後この地へ移された。登録文化財。
極楽の池を渡ると「補陀落の庭」、その向こうに住職達が住まう「本坊」が建っている。
本坊から直角につながる「湯屋本丈」。
江戸時代、天海大僧正(1536-1643)が四天王寺に来た時は、ここに在住して執務を行い、湯に入った。国指定重要文化財。
1623年、徳川秀忠が再建。
〈参考資料〉
・図録『四季折々の四天王寺〜絵画にみる近現代の彩り』
執筆 渡邉慶一郎
発行 2024年3/8、四天王寺勧学部
・図録『女性画家たちの大阪』
執筆 小川知子,北川久 他
発行 2023年、中之島美術館,産経新聞社 他
・図録『大阪の日本画』
執筆 林野雅人 他
発行 2023年1月、大阪中之島美術館,毎日新聞社
・パンフレット『四天王寺 極楽浄土の庭』
執筆･編集･発行 四天王寺本坊
日没前の時間は、前回観る事ができなかった宝物館と庭園に足を運んだ。
境内Mapは昨日の日記を参照頂きたい。
寺は春季彼岸会で、古着やら器やら我楽多やら、たくさんの出店もあり、賑わっていた。
中心伽藍の東側にある宝物館では、常設展と春季名宝展「四季折々の四天王寺〜絵画にみる近現代の彩り」を開催中だった。
・会期 3/９〜5/5
下村観山、堂本印象、菅楯彦、生田花朝ら、四天王寺にまつわる作品の特別展示を入れて、総展示30件余り。
チラシ作品は菅楯彦。
こちらは下村観山(1873-1930)の《弱法師(よろぼし)》(1915頃)/四天王寺蔵。
下村が同じ構図で六曲一双に描いた同タイトルの大作は、東京国立博物館にあり、重要文化財。
こちらはそれを42×119cmに収めたもの。
謡曲『弱法師』は、業病に侵され盲目となった青年俊徳丸が、四天王寺の救世観音に助けられたという俊徳丸伝説(文楽/歌舞伎の『摂州合邦辻』の基ともなっている)から、観世元雅(?-1432)が作ったもの。
春の彼岸会、四天王寺西門(極楽門)にて、弱法師が極楽往生のための「日想観」を行う場面。
平安時代以降、同門は極楽浄土の入り口と信じられ、浄土信仰の聖地となった。
菅楯彦(1878-1963)の《龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)図屏風》(大正〜昭和前期)六曲一双と、その女性弟子 生田花朝(1889-1978)の《極楽門の春》(1965)、共に四天王寺蔵。
前者は東京ステーションギャラリーの「大阪の日本画」展(’23.4.15-6.11)に、後者は前回の大阪行で観た中之島美術館の「女性画家たちの大阪」(’23.12.23-’24.2.25)展に出品されていた。
生田の《極楽門の春》は、聖霊会(聖徳太子の命日(*1))の日に極楽門で遊ぶ子供達を描いている。門の奥には、石舞台を飾る曼殊沙華と五重塔が見える。子供達の中には「迦陵頻」や「胡蝶」の装束を着ている者もいる。
(*1)旧暦では2/22、新暦では3/下、現在は4/22に行われるようになった。
極楽門の朱の柱には「転法輪」が取り付けられていて、女性と子供がそれを回している。
「転法輪」は、仏の教えが人から人へと広がっていく事を象徴している。
私も、訳も知らずに回してきた。
次は、中心伽藍の北東にある庭園、通称「極楽浄土の庭」である。
広さは1万�屬涼喟�廻遊式庭園。
自然の湧水を利用した2つの河「水の河」(*2)と「火の河」(*3)、その間を抜ける「白道」(*4)を進むと「瑠璃光の池」から「極楽浄土の池」に行きつく構造になっている。
白道は細く造られており、ここを訪れた者は2つの河に落ちないよう気をつけて歩かねばならない。
(*2)衆生の貪りや執着を表す。
(*3)怒りや憎しみを表す。
(*4)善心と信仰心を表す。
「瑠璃光の池」にある薬師の滝。
「極楽の池」と八角亭(*5)
右手に阿弥陀三尊石が見える。
(*5)1903年第５回内国勧業博覧会において「小奏楽堂」として建てられた。その後この地へ移された。登録文化財。
極楽の池を渡ると「補陀落の庭」、その向こうに住職達が住まう「本坊」が建っている。
本坊から直角につながる「湯屋本丈」。
江戸時代、天海大僧正(1536-1643)が四天王寺に来た時は、ここに在住して執務を行い、湯に入った。国指定重要文化財。
1623年、徳川秀忠が再建。
〈参考資料〉
・図録『四季折々の四天王寺〜絵画にみる近現代の彩り』
執筆 渡邉慶一郎
発行 2024年3/8、四天王寺勧学部
・図録『女性画家たちの大阪』
執筆 小川知子,北川久 他
発行 2023年、中之島美術館,産経新聞社 他
・図録『大阪の日本画』
執筆 林野雅人 他
発行 2023年1月、大阪中之島美術館,毎日新聞社
・パンフレット『四天王寺 極楽浄土の庭』
執筆･編集･発行 四天王寺本坊
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