コミュ
《サルでも詠める短歌教室♪サル短》
で行われた
〈第三回サル短七夕うたまつり〉に応募された全短歌に游月独自の自由奔放な【勝手解釈】をつけたものです。
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《勝手解釈part1》(=単に自分が書くことを楽しむ為にだけ書く解釈)
１銀河系宇宙の中のベランダでねがいを込めて見る天の川
天の川が地球から見た銀河系の姿な訳ですが、考えてみると、実際銀河は宇宙を半永久機関の不思議絵のように、とんでもない量の星々が流れ続ける川で、この歌は、� 峩箍老榔�宙」という五文字熟語だと、半永久機関(不思議絵)の中からそれを見ながら願い事をする天の川、という三重複の表現になる為、��我らが「銀河系」と果てしなき「宇宙」という大小を分けて描いていて、銀河系は宇宙の中のベランダなのであり、そこで願いを込めてベランダ(銀河系=天の川=ベランダ)を見るという引きこもりの歌って事にはならない、��ベランダは、鉄筋？で出来た清水の舞台のような物となっていて、周りは広大な宇宙の中で沢山の光を届けてくる銀河系であり、そこで願いを込めている眼前に天の川ってこれも重複なので、�ぁ崚靴寮遏廚砲蓮∈�となっては輝きというより牽牛織姫ストーリーの意味合いが強いので脚本を、「銀河系」には美術を担当してもらい、「ベランダ」という舞台で、「願いを込める者」が主役として、その願いの先に居る「喜び」「幸せ」と一緒にこれからの公演を展開していくという事を表現しているのである。
【勝手解釈part2】
２ポニョの浮くアーケード街うす茶糖ずいぶん前の七夕まつり
七夕商戦の只中、アーケードに連ねる店は、それぞれ趣向を凝らして、売り出すものを〈のぼり〉に、〈ワゴン〉に、牽牛織姫に扮した従業員も居る？そしてすべての店頭には〈笹飾り〉。
2020年来、映画や海外ドラマでしか見たことがなかったありえないようなパンデミックの非常事態。新型コロナが津波のように客を根こそぎ奪い去ってから、ハッキリとした収束宣言が出されないまま、やっと賑わいが戻ったように思えるアーケードの七夕祭り。そう、コロナ前には知り合いと寄ることも多かった。
《ずいぶん前》、不安のかけらもなかった頃、素人っぽい能天気な《ポニョ》の歌があちこちで流れ、赤い金魚のサゲモンが笹に被って一層賑やかで、そうそう、あの、うす茶糖だって、せっかくだから冷たくて甘いものをって。
そんな手作り風味のアーケードが何気ない幸せを演出してくれていたのかもしれない。
歌を詠む際に音というのはとても重要なアイテムで、この歌にある《ポニョ》って、とても能天気でそれがかえって過去の幸せを浮き彫りにしている。《うす》っていうのも言葉の意味からすると同等の演出をしていて、更に《アーケード》という言葉、川の対岸をつなげる架け橋からの印象で、この世の終わりかもしれなかった令和のコロリを川に流し、コロナ収束後の時代へと繋がっていく能天気な幸せが再び繋がれていく。
【勝手解釈part3】
３見上げても星の一つも見えなくて雨の七夕あなたは来ない
星が《見えない》のではなく、
見ようとして《も》一つ《も》見えない。
七夕の日に雨が降る。一般には、牽牛と織姫は待ちに待った年に一度の会う機会が失われると思われている。こんなつらい事はない。
雨雲のような人混みをいくら探して《も》光り輝く(私の)星は欠片《も》見えない。
天の恋ごとと地の恋ごととを掛けていて、更に音の通りが良い。平安和歌に通じる手法で、現代にもまたもの哀しい恋歌が詠まれている。
【勝手解釈part 4】
４夕されば七日の月の舟ならむ人ごととこそ眺めそめしか
この歌に関しては先日書いているのでもっと深堀りしなければならないのですが、二つの拠点とそれぞれのアイテムが用意されているので、思いがけないストーリーが湧き出でるのではないかと期待している。
《さる》は〈去る〉。現代では、時空の或る点([有る]と混同しないよう[或る]とする)から遠ざかる、過ぎていく事で、既に或る点には無いが、空間的には移動していく後ろ姿が見える場合も含まれる。それを当てはめると《夕されば》は、夕方、夜の入口、から遠のいて〈夜も更くれば〉と同義になるはずだが、実際はそうではない。
ここで、〈死〉という言葉の使い方を考えてみたい。まず、A氏がせっぱつまってB氏を〈死ぬ〉状態にしたいと考える。夕方、AはBに過剰な負荷をかけてBは〈死ぬ〉。Aがその場から逃げた後、C氏はBが〈死んでいる〉のを発見する。警察が来て、Bが〈死んだ〉原因を調べる。
Bの命が〈去る〉のは夕方。そしてその後もBの命は〈去った〉まま。〈死んでいる〉という言葉に、〈死ぬ〉を続けているというイメージではなく、〈死ぬ〉が過ぎてその後もその状態が続いているというイメージ。
微妙だが、古語の《去る》と現代にも使用されている〈死ぬ〉とは同じなのだ。《夕されば》はつまり、夕方が或る点に〈去る〉。そして〈去る〉が過ぎてその後もその状態が続いているという事。
《七日の月》は七夕とは直接関係ないが、《舟》とする事で、天の川を渡る為に牽牛が漕ぎ出す七夕の日が思い浮かべられる。若い頃、季節のいろいろな行事に合わせて恋ごとを重ねてきたが、自分にとっても遠距離恋愛は遠い過去の出来事。夜空には多くのストーリーがあるが、自分には今となっては関心が薄れてしまった。しかしいつも夜空に浮かぶのは別れたあの人の姿よ。かの人は去っていったのだが。
游月、悪ノリの
【勝手解釈part5】
５ 天の川くらいの距離を置かれたか七夕デート失敗の巻
【百メーターくらいの大差をつけられた競技じゃなくて七タデート】(不十分に詠んですみません)
という感じの意味が見えてきて……
雄一はスポーツ万能で成績もトップクラス。ラブレターもたくさんもらうが返事をした事がない。意中の娘が居る。が彼女の前に出ると緊張し過ぎて、石像のようになる隠れ身の術を使ってしまう。
水泳の授業で彼は早過ぎて誰よりも早くプールから上がった。プールの向こう側では女子が騒いでいる。
「え？ぼく？」と、照りつける太陽を滲ませる水を顔から払うと、視線は彼にではなくプールに落とされ、その先には溺れるように泳ぐ女子の姿があった。拍手と喚声が上がっている。やっとたどり着いた女子はなんと意中の涼子ちゃん。突っ立っていた彼は目が合ってしまい、咄嗟に後ろを向いた。ゾクゾクと上がってくる男子に顔を見られまいとウロチョロと回転する雄一。そうこうしているうち女子が挙動不審に反応する。(中略)
友人に相談したカレは、「お前なら絶対ぇー楽勝やろ」との太鼓判と、教わった通りの「帰り道バッタリ&チケット落とし」戦法と「友達が急遽」作戦で映画に誘った。(中略)
暮れなずむ七夕の街角、通いなずむ二人の心。自分の不甲斐なさに意を決し、来週のデートを申し込む雄一に、「ごめんなさい」の雨が身に沁みる。友人に報告した失敗の笑い顔が痛い。穴の空いた来週が雄一に闇夜となって襲いかかるが、着信のスマホ画面に「涼子さん」の文字。呼吸困難に喘ぐ彼の耳に「来週だったらあいてる」の甘い吐息。溢れる涙はそのままに、かささぎの渡せる橋の欄干に寄りかかって震える「YES！」そして再挑戦の巻。
【勝手解釈part6】
６逢うことのできない日々に育つ恋きみの名前を書いた短冊
さだまさしの歌に
「君はたえかね(日記の)七ページ目からは僕の名前何度も連ねた」(短歌じゃありません)
というのがありますが、恋が育ち過ぎてもうどうにも止まらず噴出するエロス愛という意味でほぼ互角。
日記いっぱいの名前や短冊に恋しい人の名前(のみ)を書くってまるでアホです。しかし思春期からは皆さんそうなさってますよ。『恋はみずいろ』なんてウソです。フランス語の原詞では〈燃えるようなbleu〉に表現されているようですが、ほんのり桜色とかパステルなのは、頬の紅潮くらいで、心の中は地中の黒い闇に煮えたぎる赤いマグマになるはずです。だから日記いっぱいに彼の名前書いたり、衆人環視の笹の葉に恋しい人の名を記すなどと、普通では考えられない事を、嗚呼、恥ずかしい！我が若かりし頃を思い出してごめんなさいと元カノに告げたくなります。何故ごめんなさいかは割愛させていただきます。こうして命の根源にプログラムされた恋というアプリによって本人ではどうにもならない状況下にたぎるエロスの感情が体を動かしていくのです。そう、あなたの存在する理由でもあります。これを神のなせる技という人もいるでしょうが、なんとも切ない恋の物語です。
【勝手解釈part７】
7の歌は私のものなのでとりあえず飛ばします。
後日他人事のように勝手解釈するかもしれません。
さて、前回ほぼ読み飛ばした歌に迫ります
８待ちはせず飛び立ち群れに加わるよ唯一羽でもカササギとなり
《ただ一羽》なのに《群れ》へというのでいきなり読み終了となりました。数週間経った今、もう一度読んでみよう、こんな時は別の読み方をします。言葉の持つイメージだけをカンバスに乗せていき、抽象画を描く。
かささぎが群れているところは見たことがありません。実際群れないのか、単に私が見る機会がなかったからかは分かりません。カチカチ…と鳴くことから別名カチガラスなのですが、佐賀では「カッちゃん」などと呼ばれて人々に親しまれています。カラスより小型で黒白に青い羽が見えてとても綺麗ということもあり、カラスのような悪いイメージがあまりありません。
「待ちはせず」
という言葉が強い意志を感じさせ、
《飛び立ち》
そして文の冒頭の
《ただ一羽》なのに《群れ》へ
そういったイメージの重なりから
《群れ》とは既に消えたもの。それでも
《飛び立ち》その群れに加わって行く。
太平洋戦争末期、一億玉砕、美しく砕け散れと言われた時代の意識がこの歌からよみがえってきます。そうすると
《待ちはせず》に意味がかよって来ます。
敗戦すれば家族は敵国に酷い目にあわされるという漠然とした強い不安があったかもしれません。自らの死をもって家族を守るという宗教的な愛に通じていて、その愛こそが羽の美しい青さではないのか。
【勝手解釈part８】
10一年に一度も逢えず七夕の夜のこころに秘めているひと
誰しも哀しい恋の物語をもっていて、頑丈なカプセルの中に閉じ込められたまま、死ぬまで開けられることはなく風化もせずに心に存在し続ける。添い遂げられなけれ生きる意味はないのではないかとさえ思えてくる。
逢えなければ尚更透明のカプセルの中で微笑む姿が強力に心を引き寄せてくる。若い頃の夜は苦しい。闇の中、瞼を閉じても開けても、微笑みが、声が、そしてやわらかな手肌が。年月はすぎ、ぼやけてくる恋、ただ声が、誘う声がまだ耳の奥まで届いてくる。
【勝手解釈part 9】
11もう二度と会えない人がまたひとり七夕の夜雨ばかり降る
やっぱり完璧だと思う。幾つもの言葉が互いにネットのようにつながっていて、詩を一心不乱に制作していた頃にこうありたいと思っていた形。解釈も解説も要らないと思う。ただただ強く響いて来る。
というわけで勝手解釈無しで、これは簡単な批評文かな。
【勝手解釈part10】
12短冊のひとつひとつに込められたねがい集めて星の祭りに
この歌を読んで、何度も読んで、と繰り返していると、短冊に記された願い事が星となって夜空にそよぎ、サラサラと天の川に流れている、ように見えてきます。
神社の掛け木に結うおみくじのように、結ぶという行為が願いとしてまつられ、それぞれの光が総体として何か明るい未来を照らしているのだと思います。
では残り二つには勇気が要りますが自分の歌に迫ります
【勝手解釈part11】
７短冊に懐かしい字の願いごとぎこちなく母「長く、生きたい」
字面で対比されているのが｢短｣と｢長｣。
このことから「長く、生きたい」と書かれていたが、「短｣かかったという作者の感情が見てとれます。
当然、「ぎこちなく」は年老いて思うように動けなくなった手を懸命に動かし「願」っているから。
これは実際の話ですが、「長く 生きたい」あるいは「長く、生きたい」と母の直筆で短冊に書かれていました。その生前の「長く、生きたい」とたどたどしく発しただろう声が耳に響いてきます。
【勝手解釈part12】
９大袈裟にはにかみ笑い七夕と棚ぼたかけて昇天の父
駄洒落を発するに、少々の恥じらいがありながら、ここは一家団欒の味付けと、｢大袈裟に」お披露目。家族と一緒の時の幸せを感じながら有頂天である事と、そんな父も亡くなってしまった事実を歌っています。
実際に｢七夕と棚ぼたかけ｣たかどうかはさだかではありませんが、うちの親父はやりかねません。
そんな父のイメージがいつまでも残ります。
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