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2023年02月19日02:36

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「クチャ王国とインド仏教文化のなごり」

朝日カルチャーセンター京都で「シルクロードの仏教美術」3回シリーズをやってます。1月と3月は仕事が休めないので2回目の今日だけ受講。でも私の「ど真ん中」なので満足。

最初は一般向けの講座なので「知ってることばかりかも」と思って気楽に行ってみたんですが、意外と濃かったです。
講師はベルリン自由大学で博士号を取り、今は京都大学特定助教の檜山智美氏。最新の研究成果をお話してくれたので、興味深いことがいっぱいでした。

当時クチャで使われていたのはトカラB語で、近年は文献の研究も進んでいます。仏典はサンスクリット語が基本ですが、サンスクリット語のトカラB語訳やサンスクリットとトカラB語と両方対応している文献もあったり、宗教語と日常語の関連も興味深い所です。
そういった文献を見ていきますと、クチャは西域北道でも最大規模の大国でもあり、インド仏教の正統な後継者との自負が見て取れます。

トカラB語の文献には僧院の組織体制が書かれたものがあり、門主の阿闍梨、座主、民間の管理人などを表す言葉が登場します。僧が穀物や油やバターを管理する役目をしていたこともわかります。穀物や油は基本的な食糧なので、それを管理するのは重要な役目だったと思われます。

クチャの仏教美術と言えば、何といってもキジル石窟に代表される石窟寺院です。仏像はほとんど失われていますが、膨大な壁画が残されています。この壁画を見ますと、非常に多くの説話が描かれ、それは「絵画言語」と言って、絵巻物のように読み解くことができます。

また石窟を寄進した供養者像も描かれていますが、仏教説話の中に亀茲王夫妻がいたり、説話の中に紛れ込んで描かれているのも大きな特徴です。諸転法輪の絵の中で説法を聞いている人たちの中にいたり、涅槃の時に嘆く人たちの中にいたり。

さらに第118窟の「マンダータル王本生図」には古代インドの須弥山を中心とする世界観が反映されており、絵解きで物語をたどりながらその世界観を体感できるようになっています。物語の時間軸の表現にも独自の工夫があります。ついでに、時間や物の数を表現する数値が大きすぎて、さすがインド、って思う。何万年とか何百万人とか、インドの本に書かれている単位ってあり得ない数を平気で出してくるんですよね。

説話は仏教説話にとどまらず、インドの戯曲が伝えられていて、その中の人物と思われる像が描かれたりもしていました。
例えば、髪の一部を剃り残して結わえた小姓とターバンを巻いた老人の組み合わせがしばしば壁画の中に登場します。これはサンスクリット古典戯曲文学の登場人物、宮廷道化師のヴィドゥーシャカと侍従官カンチュキンを表したものです。トカラB語の戯曲にも登場しており、参拝者に壁画の絵解きをするのにこういった人物を通して話をすると、より親しみやすさを感じさせることができたのだろうということです。

さて、19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界中の探検家が「最後の秘境」とばかりに中央アジアになだれ込みます。そうしてたくさんの出土品を持って行きました。特にキジル石窟の壁画をはがしまくって持って行ったのはル・コックのドイツ隊。なのでベルリンにその壁画や仏像がごっそりと収蔵されています。といいながら、ベルリン空襲で多くが焼けてしまったのですが…。それでも持ってきた量が相当なものだったので、残されたものもかなりの量らしいです。講師は最初中国に行こうと思ったのですが、ベルリンの収蔵品のことを知ってそちらに留学したということです。
そして、近年フンボルト・フォーラムという新しい博物館ができて、収蔵庫に眠っていたそれらの美術品がずらりと展示されるようになったということです。

今までベルリンに行ってもどれだけ見られるかわからないと思っていたのですが、そんなにまとまって見られるようになったのならベルリンに行きたいかも…。うーん、ドイツ語圏に一人で行くのか…。いや、昔一人でオーストリアとハンガリーに行きましたけどね。
ドイツに行くならロマンチック街道に行きたいんだけどな。ベルリンか…。
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