とっぷりと暗くなったアイスコーヒー色した空。
それにゆっくりと注がれたミルクのように一筋の煙が地表から上へと立ち昇る。
それはポカンと見上げる僕の口元から
氷のように冷たくなった頬と薄く紅を差したような鼻
その表面を優しく撫でながら
浮かんでいく
飛んでいく
飛んで
ただ、ただ飛んで
やがてゆっくりと溶けあって星々と月へと捧げられて見えなくなった
僅かな喜びと切なさを残しながら
節足昆虫のような僕はざらついたアスファルトの上をゆっくりと歩いていく
淡く白く染め始める夜明け前を目指して
なんてことはないのさ。
ただ数多くある人生の楽しみを一つだけ見つけた夜。
美味い酒をチビチビと舐めながら
ゆったりとソファに座り、タバコを燻らし
窓の外を見て、ただ世界がカフェオレ色に染まっていくのを見つめていたあの日みたいに
それでも未だ夜明けは遠く。 覚めるにはまだ早い。
河原に座って朝を待とうよ。
プカリと一服……、沈黙も心地良く。
薄皮剥がれた剥き出しの身体は少しだけ重いかも
なあに、夜も薄くなれば鳥だって歌い出すさ
朝もやに混ざる薄紫の煙を愛でて
一酔のため息をはき
ただただあるがまま朝を待つ
時の流れ。
その為すがまま。
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