今日は川崎にコンサートを聴きに行った。東京交響楽団の定期演奏会である。
プログラムは次のとおりである。
・シューマン:マンフレッド序曲
・シューマン:ヴァイオリン協奏曲
・ベートーヴェン:交響曲第2番
指揮:ジョナサン・ノット/ヴァイオリン:アンティエ・ヴァイトハース
会場:ミューザ川崎 (14:00 開演)
シューマンの協奏曲といえばピアノ協奏曲かチェロ協奏曲、ベートーヴェンの交響曲といえば「英雄」、「運命」、「田園」、「第九」など、いずれも有名曲で演奏機会も多いと思うが、今日のプログラムはこれらの曲ではない。しかし、前述の作品に劣らぬどころか、実に素晴らしい作品なのである。それが堪能できるプログラムなのである。
まずは、シューマンの「マンフレッド」序曲から始まる。序曲のみの演奏だが、実はこの曲も大好きである。序曲以外は演奏される機会はないに等しいとのことだが、序曲だけでも、シューマンらしい濃厚なロマン性がつまっているのである。演奏も素晴らしかった。これは、ミューザ川崎というホールの素晴らしさも加わっているのか、いつにも増して響きが豊かに聞こえた気がする。
続いては、シューマンのヴァイオリン協奏曲だ。ヨアヒムによる初演も見送られ、クララも「この作品は難しいわね」と楽譜出版の対象から外し、そのまま20世紀後半になるまで埋もれていた作品だ。しかし、聴いてみると、なかなか魅力的な作品であることが分かる。生で聴くのは2回目くらいか。冒頭のオーケストラが奏でたあとに、ヴァイトハースのヴァイオリンがスッと入る。たぶん初めて聴くヴァイオリニストだが、これでもかと前面に出るような演奏ではなく、オーケストラと溶け合って、少し控え目ながらも美しく歌うというような印象だった。じっくりとこの曲の魅力を感じさせてくれたように思う。
このあとは、ヴァイオリン独奏によるアンコール演奏があった。ヴァイオリン・ソロのアンコールの定番(?)の、バッハの無伴奏パルティータ第2番よりサラバンドである。ここはしっとりとした演奏を聴かせてくれた。
休憩のあとはベートーヴェンの交響曲第2番だ。ベートーヴェンの交響曲の中では人気があまりないかもしれない。私も生で聴くのは、おそらく今日が初めてだ。しかし、聴けば実に素晴らしい作品であることがわかる。今日の演奏は実に生き生きとしたもので、重厚過ぎたり、過剰表現になったりすることは決してないが、最初から最後までビシッと決めて、最近聴いたベートーヴェン作品の演奏の中でもベストといってもいいようなものであった。今日の演奏を聴いたなら、私が「ベートーヴェンの交響曲の中では第2番が好き」というのも納得してくれるだろう。
終演後のカーテンコールも終わり、楽団員がステージから全員去ったあとも拍手が鳴り止まず、指揮者のノットが再びステージに呼び戻された。それぐらい素晴らしい演奏会だったということである。
日中は暖かいが、日が暮れると一気に気温が下がる。間もなく師走だ。しかし、素晴らしい演奏会で、良い気持ちで帰路についた。
ログインしてコメントを確認・投稿する