20211105
害虫を殺しにかかる太陽を睨みつけても雪は降らない
草はらに落ち葉のごとく転がれば大地はもはやウイルスの膜
生きるため記憶が残っているのなら消えた幸福なぜここにある
｢動物を飼えば死ぬのが可哀想」｢その分しあわせ味わわせよう」
20211106
文子さんキリンの様に背が高く髪をなびかせ走っていたな
20211108
二回目は高熱が出ると思ったワクチン接種大丈夫なの？
二回目のワクチン接種で休んだが肩が凝りそう猫もダラダラ
キスのあと見おろす君のほほ笑みが遠くへ行って思い出せない
だいぶ前流しの下にジャガイモを置いていたのを今思い出す
追いかけた獲物の尻が懐かしい切られた肉に温もりはない
20211109
短歌って将棋のように思えてきた制限作戦優勝ゲーム
物心短歌旋律父の声分からなくても幸せだった
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〈抽象絵画の短歌〉〜抽象絵画の印象を元に短歌を描く
20211109
花びらは突風に舞い風化した土塀に散ってせせらぎに落つ
終末の灰の林に火は燃えて深い墓穴に流れ入る酒
弛緩した命の傷に注ぎ込むプラスチックは凝固していく
昨日今日明日の心のいろどりを骨壷に入れ僕らは生きる
20211110
張りつめた刃の恋はすべり合い深く裂かれて残る傷痕
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