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2020年12月17日19:32

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「認知バイアス」 (鈴木宏昭著、講談社ブルーバックス)

はっきりと見えているはずのものが見えていなかったり、確かなはずの記憶が違っていたり、間違えようのない判断を誤ったり、全く同じものを別物と見たり、人間はかくも認知のずれを起こすのである。それは、全体を見ているようで一部しか見ていなかったり、余計な物や言葉に引きずられたり、さまざまな要因がある。チェンジ・ブラインドネスや、「リンダ問題」、「4枚のカード」など、よく知られた事例も含めて、誤った判断を引き起こす認知バイアスについて、心に潜む不思議な働きを分かりやすく書いた本で、なかなか面白い内容であった。


●「見えない宇宙の正体」 (鈴木洋一郎著、講談社ブルーバックス)

宇宙を構成する物質・エネルギーのうち、我々の知る原子・分子はわずか5%に過ぎない。あとは正体不明のダークエネルギーが68%を占め、未知の物質であるダークマターが27%を占めている。これらは理論的に存在することを示す証拠があり、逆にこれら未知のエネルギー・物質の存在なくしては宇宙は成り立たないのである。最先端の宇宙物理学では、そのダークマターを捉えようと研究が進められている。ダークマターはWIMPなのか? アクシオンなのか? どれも決め手がない。存在を初めて認識した1933年から現在に至るまで、重力を通してしかその影を捉えることが出来ないダークマター。光では見ることが出来ず、存在しているのに実態が分からない。宇宙はまだ謎だらけだ。だから面白い。


●「路線バスの謎」 (風来堂編、イースト新書Q)

路線バスは鉄道以上に全国津々浦々に広がっており、それだけにバラエティーに富んでおり、マニアックな視点で見ると面白いネタがたくさんだ。そんな路線バスに関する「誰も調べなかった細かすぎる雑学」を、マニアックに掘り起こした本である。最長距離の路線バス、それとは逆に乗ったらもう終点の最短距離のバス、日本最○端のバス停から、その地域ならではの特色あるバス路線の紹介など盛りだくさん。そしてバス事業者の経緯が分かれば、なぜそこに路線があるのかも分かるのである。全国の路線バスを網羅したためか、やや大雑把な記述もあるが、楽しめる本である。私の地元神奈川県の路線バスについてなら、この本にないネタもまだたくさんあるが...。


●「妙な線路大研究 東京編」 (竹内正浩著、実業之日本社)

地図で東京都内の鉄道線路を見ると、なぜそんなところを通るのか、わざわざ遠回りしていたり、不自然に曲がっているように見えたり、不思議な箇所が多々ある。もちろん地形の関係でそうなったものもあるが、それだけではない。そもそもの路線計画が現状とは別だった名残だったり、国や都の横槍が入ったり、既存の施設の関係で迂回せざるを得なったり、理由を見ればそれなりに納得である。本書に書かれたことは、地図や鉄道が好きな人ならすでに知っている内容も多いが、きちんと分かりやすくまとめられている。


●「はやぶさ2 最強ミッションの真実」 (津田雄一著、NHK出版新書)

先日12月6日に地球に帰還した「はやぶさ2」。その「はやぶさ2」のプロマネであるJAXAの津田氏による迫真のドキュメントである。3億キロ彼方の小惑星リュウグウ。そのリュウグウに1m以内の精度で着陸し、複数の地点から物質を採取し、地下掘削をし、地表探査ロボットを展開させた。そして、無事に地球に還ってきた。難易度の高い「世界初」を7つも成し遂げたという大偉業を達成してである。月より遠い星からのサンプルリターンが出来たのは「はやぶさ」と「はやぶさ2」だけである。日本の宇宙科学は世界のトップレベルなのだ。間近でのリュウグウの映像を見て分かったことも多い。課題も増えていく。絶望的な課題も一つ一つクリアして、計画に修正を加えていく。プロジェクトに関わる科学者、技術者が全ての局面において最善を尽くしたからこそ、それらが全て絡み合って成功したのである。誰一人欠けても成功はなかった。全員が主役のプロジェクトだからこその成功である。
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