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2020年08月05日20:53

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「銀座アルプス」 (寺田寅彦著、角川ソフィア文庫)

物理学者であり、随筆家でもあった寺田寅彦。すでに読んだことのある文章もあるが、文庫として新たに出たものを買って読んだ。日常の何気ない出来事にも、科学者の鋭い視点が加わり、明快に書かれた文章は、読んでいても気持ちよい。大正から昭和初期にかけて書かれた文章なのに、令和の今読んでも新鮮に感じる。幼児の思い出をもとにした標題作「銀座アルプス」や、珈琲の効果を哲学に擬えた「珈琲哲学序説」など、名文であると思う。「流言蜚語」という随筆もあるが、冷静に考えればあり得ない話に惑わされるなど、今のこの時代にもそのままあるではないか。100年前と変わっていないかのようだ。


●「科学歳時記」 (寺田寅彦著、角川ソフィア文庫)

「銀座アルプス」と同時に買った本。タイトルは「科学歳時記」とあるが、こちらには文学寄りの著作が多く、中には小説に近いものも掲載されている印象である。しかし、そこは物理学者であり、やはり随所に科学者の視点がある。普通の人ならなんとなく見過ごすようなところに気付き、そこから何かを導くのは、やはり科学者だと思う。上記の「銀座アルプス」同様、一世紀前に書かれた文章なのに、今読んでも新鮮であり、現在にも通じる話も多いのである。


●「古関裕而 応援歌の神様」 (長尾剛著、PHP文庫)

先日は古関裕而の作品の変遷を中心に書かれた評伝を読んだが、今回は古関裕而の人物像を中心に書かれた評伝である。現在、NHK連続テレビ小説「エール」が放送中(撮影中断のため今は再放送をしている)だが、フィクションと断っているとはいえ、この本を読む限り、かなり事実に近いようである。クラシック志向の若い頃、戦前の流行歌、戦時中の国威発揚音楽、戦後のスポーツ音楽や映画音楽、決して「応援歌」だけではないのだ。妻の金子が歌った幻のラジオ・オペラ三作は、音源発掘を期待したいところである。


●「甲の薬は乙の毒」 (塔山郁著、宝島社文庫)

「薬剤師・毒島花織の名推理シリーズ」の第2作。薬に関する豊富な知識を活かして事件を解決する。認知症の薬が一種類だけ消えたり、筋トレに目覚めた青年に奇妙な手の震えが生じたりするのを、薬の知識から解決したり、不摂生な生活を送っている中年男性に検査を受けるように仕向けたり、暴行魔の外国人から女性を救ったりする。そんな彼女も、恋愛には疎い。彼女に好意を抱くホテル勤務の青年との仲を、周囲の人が後押ししようとするも、なかなか進展しない。小説中の商品名は架空ではあるが、薬に関する知識も満載の異色ミステリーである。


●「リモートワークの達人」
   (ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハネネマイヤー・ハンソン著/高橋璃子訳、ハヤカワ文庫)

COVID-19の影響で、リモートワーク、あるいは、テレワークといった仕事の仕方がクローズアップされるようになった。この本は、それとは関係なく、前から完全リモートワークを実践しているソフト開発会社の経営者による、リモートワークのすすめの本である。会社が社員に求めているのは仕事の成果であって、一定時間オフィスにいることではない。仕事の成果を出すのに時間や場所は関係ない。一切の無駄を省き、必要な情報はもれなく共有すれ十分だ。それで仕事をしない人は、はじめから採用しなければよい。この本の内容には同感できる部分が多いが、日本の多くの企業の現状としては、まだまだだろうと思う。
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