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2020年04月05日01:39

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ファン・メーヘレン

2日のBSプレミアムの「ダークサイドミステリー」でファン・メーヘレンを取り上げていました。フェルメールの贋作で有名な人です。この人の名前を知ったのは「エロイカより愛をこめて」でした。その後相当有名な贋作事件だったらしい、ということを知りましたが、どういった人だったのかまでは知りませんでした。

ファン・メーヘレンはオランダの人で、画家を目指すものの認められず細々と絵画の修復などをしていました。そこへ知り合いがボロボロの絵を持ってきて修復してほしいと言う。しかもその絵はフランス・ハルスに似ていたので、フランス・ハルスそっくりの絵に修復してほしいと言う。ファン・メーヘレンはその頼みに従います。そして知り合いが画商に持って行ったところ本物のフランス・ハルスと鑑定されて高値で売れました。しかしその後高名な鑑定士が詳しく鑑定して偽物と見破られました。
しかしそのことでファン・メーヘレンの気持ちに火が付きます。その鑑定士も騙せるような贋作を書いてやる!と、本物らしい絵を作るために研究を重ねます。

そうしてついに完成したのがフェルメールの未発見作品という「エマオの食事」。ある富豪から売却を依頼された、という触れこみで画商に持ち込み、例の鑑定士に鑑定を依頼します。そうしたら、その鑑定士は本物の未発見のフェルメールだ!と鑑定したのです。

ポイントは、宗教画に題材を選んだこと。「エマオの食事」は聖書に基づく題材です。フェルメールは室内の日常の風景、風俗画を描いたものが有名ですが、初期には宗教画も書いています。しかしそこから後の風俗画の間に空白期があります。ファン・メーヘレンは宗教画に題材を取りながら、後の風俗画の室内の細かい描写を真似て、いかにも「過渡期」っぽい作風にしたのです。

こうしてファン・メーヘレンは大金を手にしました。
そしてその後も贋作を作り続けます。
しかし、大金を手にしたファン・メーヘレンは酒やモルヒネに手を出してしまいます。

丁度その頃はナチスがオランダを支配していた時期です。
そしてナチスには美術コレクターとして有名な将校ゲーリングがいました。(ゲーリングの名前も「エロイカより愛をこめて」で覚えた…)。
ゲーリングはフェルメールの絵が欲しいと切望していたのです。フェルメールは点数が少なく簡単に市場には出ません。

ちょうどそのころファン・メーヘレンが描いていたのは「キリストと姦婦」。酒とヘロインで思うように手が動かなくなってきたらしいのですが、どうにか仕上げました。ゲーリングはそれを見つけたのです。鑑識眼があるはずのゲーリングはフェルメールが見つかったと大喜び。ポイントは、キリストの顔が「エマオの食事」とそっくりだったから…。
ゲーリングは現金が足りないので、現金と自分が手に入れたオランダ絵画何点かをつけてファン・メーヘレンに渡しました。

しかしドイツは1945年に降伏しナチス政権は崩壊します。
戦後、ファン・メーヘレンのところに警察がやってきました。
罪状はナチスの協力者。オランダの至宝、フェルメールをナチスに売り渡したからです。ゲーリングがオランダで手に入れたコレクションは戦後押収されました。その中にファン・メーヘレンが売った「キリストと姦婦」も含まれていたのです。

結局メーヘレンは売国奴と言われるよりも、贋作を作ったことを白状することを選びました。
しかし、いくら贋作だと言ってもなかなか信じてもらえません。おまえにフェルメールの絵が描けるか、と。
そこでメーヘレンは検察官の目の前で贋作を描いて見せて証明することになりました。そこで描かれたのが「神殿で教えを受ける幼いキリスト」。
裁判所にはメーヘレンの贋作がずらりと並べられ、さながら展覧会の様相を示しました。これらの作品はファン・メーヘレンが描いた贋作だと認められました。
そうしてメーヘレンは売国奴の汚名を免れたばかりか、ナチスをだまして、報酬として得たオランダ絵画を取り戻した英雄になったのです。

じゃあ、そういったメーヘレンはその後どんな人生を送ったのだろう…と思ったら、贋作で軽い詐欺罪で済みましたが、酒とモルヒネで体を壊していたため刑期が終わる前にあえなく死亡。

ファン・メーヘレンは有名な贋作作家だということは知っていても、どんな絵を描いていたか具体的には知りませんでした。そういえば、どれだけフェルメールに似てたんだろう。と思って見てみたら、今回画面に映った絵を見ると疑問を感じてしまいます。そんなにフェルメールに似てるかな?と。しかし「過渡期」のものとして思い込んでしまった、特に画商や鑑定士にはフェルメールの未発見作と言うのは一生に一度でも見つけてみたいもの。ファン・メーヘレンはキャンバスや絵の具が古いものに見えるように相当苦労をしたそうですし、細部にフェルメールっぽい描写があることから「後の画風を髣髴させる」で納得してしまったようです。

しかし似たような宗教画が次々映されると、本当に「どれも同じ」に見えます。ゲーリングは「同じだから間違いない」と思ったそうですが、なんだか単なるコピーの再生産のように思えます。キリストの顔の角度も表情も衣服もほぼ同じですし、画面に奥行きが乏しくのっぺりした絵に見えます。
でもこれが「高名な鑑定士によって本物のフェルメールと鑑定されました」と言われたら納得してしまうのかな…。

番組の出演者の興味深いコメントとしては、ファン・メーヘレンは絵に対する未練があったからやめられなかったんだろうと。絵が売れないからときっぱりあきらめて別の職業を選ぶことができなかったのではないか、と。

さらに、最後に裁判所とはいえ個展を開くことができたみたいなものですねーと。

ファン・メーヘレンの絵はオランダの美術館で見られるそうです。「エマオの食事」はボイマンス美術館が後世に戒めとして伝えるために。ゲーリングに売った「キリストと姦婦」は別の美術館に。

それにしてもファン・メーヘレンってドラマチックな人生を送ったものです。
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