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2019年10月01日00:11

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詩『吊られる女のシーラカンス』

無骨な金属の輪は陽光のようなライトに照らされてギラリと光る。

それは彼女の白くしなやかなお腹の上で厳かに在った。

古き時代、昔の昔のさらに昔から。

人という種が出てくるよりも。

記録すら無い。 0よりも前に。

それでもそれは確かに存在していて、そしていまこのときでさえ深海の中で生きている。

飲み込まれた胎児と犬鷲が生きた化石の
内側を構成していた。

添えられた丸い月の隣に蝶が止まる。

彼女の背中には羽が有り、深海の存在と空の間にある人。

硬質な金属の輪に釣り上げられて

深海の中にしかいないそれを地上の僕らの前に見せてくれた。

塩分を含んだ海水に近い水でじっとりと表面を濡らしながらイキイキと揺れる。

ただ手を叩き喝采を上げた。

喝采を! 喝采を! ただ喝采を!

満月を中心に周回するシーラカンスと蝶が怪しくも魅了させる夜。

何億年経とうとも変わらない存在に。
































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