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2019年08月03日21:05

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【音楽】 府中の夏 北欧の風 〜スウェーデンってどんな国?

相変わらずの猛暑の日々。こんな時は北欧音楽♪

という訳で、久しぶりに再開の「ステーンハンマル友の会 府中の夏 北欧の風」音楽祭の第1日目である。主宰の和田記代さんも約1ヶ月前にスウェーデンから帰国している。今日は北田法子さん、矢島愛子さんと合わせて、3人のピアニストによる演奏会だ。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・ペッテション=ベリエル: 「フレーセの花々」第3巻より「ソンマーハーゲンの入場行進 」
 ・モーツァルト: トルコ行進曲
 ・クラウス: スウェーデン舞曲
 ・ストゥルーヴェ:  「この泉のほとりに腰をおろそう」 によるロンド・カプリッチョ
 ・ステーンハンマル: 三つのピアノ小品よりモルト・トランクィッロ、センプリチェ
 ・シベリウス: 樹の組曲作品 75 より「樅の木」
 ・J.S..バッハ: ヴァイオリン・パルティータ BWV1004よりシャコンヌ (F. ブゾーニ編)
 ・ノールマン:  交響曲第3番 (ピアノ連弾版)

   北田法子 ( ピアノ)/矢島愛子 (ピアノ)/和田記代 (ピアノ)
   会場: 府中サングレース (14:00 開演)


40人ほどで満員になるサロンコンサートである。会場に着くと、和田さんに再会、「久しぶり〜!」のご挨拶。今日のテーマは「スウェーデンってどんな国?」である。定刻になり演奏会が始まった。

まずは和田さんの軽やかな「ソンマーハーゲンの入場行進 」の演奏で始まる。前置きもなく、いきなり弾き始めて、こちらも急いで音楽を聴く態勢にする。久しぶりに聴いた和田さんのピアノの音! 素晴らしい! このあと、和田さんによる詳しい話を交えながら演奏会が進んでいく。スウェーデンのグスタフ三世は音楽などの芸術を愛し、欧州の「先進国」から音楽家を招き、やがてスウェーデンの音楽が花開いていった。モーツァルトと同年齢のクラウスは、ドイツからスウェーデンに渡り、そこで音楽家として活躍する。そして、ストゥルーヴェやノールマンなどと、スウェーデンの音楽が発展していく。その過程で、他国との音楽家との交流も、いろいろな形で影響を与えていく。こんなスウェーデンのクラシック音楽の歴史が、演奏とトークでつかめてしまう演奏会なのだ。

1曲目のあとは、北田さんによる演奏で、1756年生まれのモーツァルトとクラウスの作品を続けて聴き比べ。超有名曲の超有名楽章の割に生で聴く機会がほとんどない「トルコ行進曲」は、ちょっと新鮮だった。クラウスの「スウェーデン舞曲」は、スウェーデン人として生きる決心も現れているのか、楽しい曲である。生き生きとした北田さんの演奏が素晴らしかった。

続いては、再び和田さんの登場でストゥルーヴェの曲なのだが、実は全く初めて聴く曲なのだ。それどころか作曲者の名前にも馴染みがない。スウェーデンでも忘れられた作曲家のような感じらしいが、このような素敵な作品があるではないか、ということを演奏を通じて知らしめてくれるのであある。

前半の最後は矢島さんによる、ステーンハンマル、シベリウス、そしてブゾーニ編曲によるバッハである。これが実に情感のこもったステーンハンマルであり、シベリウスであった。CDでは、小品集の中の1曲だとなんとなく聞き流してしまうこともあるが、この小品から実に多彩な表情を引き出しているのだ。そして圧巻はバッハの「シャコンヌ」である。ブゾーニが、ピアノの可能性を最大限に発揮するように編曲したものだが、それをさらに最大限に引き出してみせる矢島さん。演奏が終わると、矢島さんはフーッと大きく息をついたが、全身全霊で弾いたという感じで、素晴らしいとしかいいようのない演奏だった。

休憩のあとは、ノールマン(ヌールマンと表記することもある)の交響曲第3番である。スウェーデンの音楽を紹介する活動をしている「友の会」としては、管弦楽作品も取り上げたいが、オーケストラを呼ぶのは難しい、ならばピアノ連弾版で行こうということで、和田さんと北田さんによるピアノ連弾である。ノールマンの3番は、以前に某オーケストラで生でも聴いた。シューマンなどと似た部分が感じられる箇所もあるが、聴けば聴くほど素敵な曲である。あまり知られているとは思えないこの曲を、管弦楽版、ピアノ連弾編曲版と、どちらも生で4楽章をフルに聴けたとは、実にうれしいことである。もちろん素晴らしい演奏であった。

終わってから、楽譜を見せていただいた。ノールマンの交響曲は管弦楽版とピアノ連弾版の2種類があり、100年以上前に出版された楽譜である。細かい修正箇所がいくつかあり、訊いてみると、第2楽章まではノールマン自身の編曲だが、第3楽章と第4楽章は別人によるもので、この第3楽章以降が、和声の響きが変だったり、メロディーが変な風に交錯しているところがあったりして、そういうのを直したとのこと。この曲の魅力をきちんと伝えるための研究の成果である。有名作曲家の作品ならば校訂を経て間違いは正されていくが、そうでない作曲家はずっと放置ということもある。のちのいい加減な版の方が残って、作曲者の意図に反する演奏が広まってしまうこともある。そういうのを正していくのも音楽家のつとめとおっしゃる。気楽に「今後も交響曲のピアノ連弾を入れてね」などと言ってしまったが、そのためには大変な努力が必要なのである。頭が下がる。

これ以外にも、演奏した3人のピアニストと長くお話しをし、最後には和田さんと「いつもの濃い人」4人が残り、気付いたら2時間も音楽談義をしていた。和田さんも、明日の演奏会が終われば、スウェーデンに戻ってしまうという。貴重な時間でもあったのだ。

明日も「府中の夏 北欧の風」の2日目に行く予定である。
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