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2018年04月09日11:27

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『相手の身になる』

『相手の身になる』

 朝食のイワシを噛みながら、イワシは網に掬われて船底で鮨詰めにされるまで、逃げまくって懸命に生きて来たのだろうと思っていると、裏庭で「チュン」。
 続いて、スズメは何を考えながら生きているのだろう、と思っていると、小学生の頃を思い出す。
「相手の身になって考えなさい。」
 教師は伝家の宝刀を抜いたつもりなのだが、子供にはその宝刀がどれだけの価値があるか分からず、「チャンバラを得た子供」になって友達を斬りまくる。鏡を見ても自分の姿を見ていると思っている子供が、まさか人の身になれる筈もない。相手の身になる方法を教わってもいず、おそらく反数以上の人々が死ぬまでその感覚を味わうことはないのだから。
 そこで、「相手の身になる」などというSFまがいの事は出来る筈もないので、スズメ視点を「想像」してみる。ところが、スズメを長い時間観察したことがない。どうなんだろうと考えていると、スズメが話しかけてくる。
「チュン。」
 私は言っている意味が分からず、何て言ってるのか訊こうとして、
「チュン?」
 相手も、
「チュン!」
 なるほどサッパリ分からないのでさようならと、
「チュン、チュン。」
 結局、スズメは、君に話しかけてるよ、と言っているに過ぎないのだろうと、私もこれからは、君に答えているよ、という意味でお喋りをしようと思った。
 相手の身になるというのは難しい。
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