mixiユーザー(id:12784286)

2018年01月10日20:30

135 view

【読書】 最近読んだ本 備忘録

年末から年始にかけて読んだ本の備忘的メモ。


●「神の物理学」 (保江邦夫著、海鳴社)

何やら怪し気なタイトルだが、軽い読み物の本かと思って読んでみたら全然違った。書いてあることが徹頭徹尾理解不可能。この本に書いてあるのは、理論物理学なのか宗教なのか哲学なのか。どうやら、湯川秀樹の素領域理論を発展(?)させて、宇宙の日月星辰森羅万象を記述する方程式を導き出したらしい。それは、宇宙や物質という一般的な物理学の対象だけでなく、神や奇跡、愛や天使、祈りといったものまでも考察対象に含むことができる、まさに「神の物理学」と言いたいらしい。薄い内容を、わざと難しく書いているようにも見えるが...


●「創造的人間」 (湯川秀樹著、角川文庫)

日本初のノーベル賞受賞者による文章や講演録。科学文明の発達によって人類が受ける恩恵は大きいが、それと同時に、それまでになかった新たな脅威も生まれる。人間は科学文明とどのように対峙していくべきか、科学者が創造的であるとはどのようなことか、科学の進化とは何か等々、重みのある言葉で綴られている。50年も前の内容なのに、現在にもそのまま通用することに驚かされる。優れた学者は、深い内容を分かりやすく書くことが出来るものだ。前述の本と比べても、その差がよく分かる。


●「阪堺電車177号の追憶」 (山本巧次著、早川文庫)

面白い小説を読んだなあというのが読後の感想。85年間、阪堺電車の線路を走り続け、最古の現役路面電車車両として平成29年まで走り続けた「177号」。その電車にまつわる、沿線でのちょっとした事件が、擬人化された「177号」の視点で、昭和8年、昭和20年、昭和34年、昭和45年、平成3年、平成24年の6つのエピソードとして語られる。一見別々の話のようでありながら、全てのストーリーが一本につながっており、その組立てのうまさに脱帽。阪堺電車は何度か乗ったことはあるが、また乗りたくなった。久しぶりに大阪に行こうかな。


●「麺の歴史」 (奥村彪生著、角川文庫)

ラーメンはどこから来たか、について書かれた麺の歴史書。古代中国で生まれた水引餅(スイインビン)が、日本に伝わり、日本発の世界的食品であるインスタントラーメンに発展するまでを、そもそも麺とは何か、いわゆる麺類がどのように確立していったか、それが日本においてどのように開化したかを詳述しており、ラーメンの奥深さを知ることが出来る1冊である。カップヌードルの生みの親である安藤百福氏との対談が各章の冒頭に付けられており興味深い。一般にいわれている「通説」の誤りも正し、ラーメン史の真実を伝えようという意気込みであるようだ。


●「ドビュッシーはワインを美味にするか」 (ジョン・パウエル著/濱野大道訳、早川書房)

物理学者で音楽音響学者である著者が、音楽が人間に与える心理的側面、音楽の好みと性格の関係、BGMがもたらす購買欲への効果や、味覚への影響(これが邦訳タイトルの内容)、映画音楽が鑑賞者に与える影響等々を、ユーモアを交えて綴ったものである。最後の方には純正律と等分平均律の違いなどにも触れ、なかなか読み応えのある本である。そして、やはり「人間の生活に音楽は不可欠」なのである。
0 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年01月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031