マイナスとマイナスを掛け合わせると何故プラスになるのか、ということが理解出来ない人が結構いるらしい。「負の数」を習い始めたばかりの小学生(いや、中学ではじめて習うのだっけ?)ならともかく、大人でもそういう人が多いという。
「損失と損失を掛け合わせると利益になる理由が分からん」
とからんでくる。それなら聞こう。あなたのいう「損失と損失を掛け合わせる」とはどういう意味なのか?
こう問い返すと、まともな答えが返ることはまずない。
「え〜と、すでに損失があって、さらに損失が増えれば、ますます損失が大きくなるじゃないか」
それはその通りだ。しかしこれは、「損失と損失を足し合わせたもの」である。「掛けたもの」ではない。すでに10億円の損失があって、さらに5億円の損失が加われば、15億円の損失になる。
(−10) + (−5) = −15
全く正しい。足し合わせたのは分かった。で、掛け合わせるというのはどういうこと?
「でも、損失が何倍にもなれば、さらに損失は増えるし...」
それはその通りだ。しかしこれは、「損失を何倍かしたもの」である。「損失と損失を掛けたもの」ではない。すでに10億円の損失があって、それが3倍になれば30億円の損失になる。
(−10) ×3 = −30
全く正しい。で、損失同士を掛け合わせるというのはどういうこと?
つまり、意味不明なものに例えて、マイナス×マイナスを考えようとしても、理解できるはずがないのだ。
数というものを一面的に捉えていると、訳が分からなくなる。初等教育においては、数=物の個数として理解を助ける役に立つこともあるが、本質ではない。
ふと思い出して、とりとめのないことを書いてみた。
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