mixiユーザー(id:1940449)

2017年07月08日13:02

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「戦争にチャンスを与えよ」

エドワード・ルトワック

ルトワックおじさんの戦略論を読んだ
最近人気のアメリカのイケイケおじさんの本だw

「戦争が生み出すものがある それは平和だ」
この奇妙なパラドックスに違和感を感じる人は多いと思う
一方で
彼のリアリズムに惹かれ
血も涙もない現実の政治に真実を見る人も多かろう

彼の主張の 根本となるところは
戦争という事柄を新古典主義に近い経済学の原理から見ているところだ
例えば
紛争が起きる そこで暮らす人が難民となる
難民は手を出さなければ他国へ移住しそこで移民として定着する
自由であればそこに職を求め 生活し子供を産み育て
そして本国では戦争は終結する
そこに平和がある
しかし 国連やNGOが手を出せば
そこに難民キャンプが設置され
その難民キャンプは固定化される
実際に数十年の長きにわたって設置され続けている難民キャンプは多い
戦争状態が続くからである

戦争は 戦争を行えるだけの戦争の資本が枯渇するまで続く
それに第三者が加担し資本の延命を計れば
永遠に紛争状態は続く
戦争は自由放任状態で行わなければ
平和に至ることができない
そうなると
戦争状態の中 貧困に喘ぎ自由を束縛されたまま育つ二世三世が生まれる
彼らは 永遠に戦争をするための子供を産み育て続けることになる

要は
太平洋戦争の日本のように
気持ちいいくらいボッコボコにされないと
そこから平和は生まれてはこないというわけで
今の世界は
そこらじゅうに紛争の種火を残したまま
善意というスタンスで保護された憎しみが残る状態になっているということだ

これは経済学の理論をそのまま戦争という現象に置き換えて作り出されたもので
非常にわかりやすく
また耳目に入りやすい うまい説明であると思う
多くの賛同が得られる話だと思うが

「この世界は あなたの世界よりもうちょっと複雑なの」

という紅の豚に出てくる女主人の言葉をつい思い出してしまうw

難民キャンプとその弊害が始まったのは
ルトワックおじさんも言ってるように
中東のパレスチナからだ
それ以前はほったらかしで
そこから生まれた移民は各国で根付いてその国で移民として普通に生活するに至っている
なぜ イスラエル絡みで難民はその地に留め置かれたか?
その思惑は複雑だが
決して 善意でないことは明らかだ
ヨーロッパにしてみればイスラエルに反感を持つ難民を国内に入れにくい
アラブ側にしてみれば 被害者であるパレスチナ難民の固定化は政治的に使える
アフリカの難民も
周辺国には周辺国の あるいはその国に利害関係のある旧宗主国の思惑もある
それもまた 自由主義経済の当然の帰結だ

おじさんは 自ら宣言して
道徳を語らない
よく言われるように 国際政治に道徳は通用しないという立場だ
「冷徹である」という突き放したスタンスがそこにある
じゃあ なぜ
難民が固定化され そこに戦争という不幸が常在することが悪いのか?
第三国にしてみれば 何も困らないはずだ
平和も戦争も資本のあり方からくる現象ならば
国連を批判する必要性はどこにもないはずじゃないのか?
つーか 全然冷徹じゃないじゃないかw

そのツッコミに耐えられないのは
アメリカのリアリズムの限界で
軍事大国にしか通用しない「アメリカの現実主義」だ

とはいえ
日本にとって 彼の提言は
刺激的で
なおかつ立ち止まって考え直さざるをえないものを与えてくれる
こういう人物が
アメリカという国家のアドバイザーであり
大手シンクタンクの顧問なんだ
アメリカの一側面だということだ

人は苦しまずに目先のわかりやすい結論に飛びつく

三島がよく言っていた
形は失っても精神があれば復活する
精神は一度失えば帰ってこない
守るのはどちらか?と
だから日本はボッコボコになるまでやったんじゃないのか?
少なくともそういう建前だったはずだ

平和を求め 難民が苦しむことのない世界は
定言命法としての「善」だ
ここを譲ったら
精神は失われる


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