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2017年06月25日15:09

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Pipes of Peace/Paul McCartney

 ポール・マッカートニーの『パイプス・オブ・ピース』は、傑作『タッグ・オブ・ウォー』のセッションで録音されたマテリアルが中心で、まさしく続編と言っていいような作品。だが、あらゆる「続編と呼ばれるアルバム」がそうであるように、総じて1作目よりもまとまりがなく、集中力に乏しく、作品の質として見劣りするのは否定できない。
 ただし、タクトを振っているのがジョージ・マーティンだからか、辛うじて楽曲群のカラーはまとまっているように聴こえる。

 ポールは本作において『ラム』に匹敵するくらい自由奔放に音楽のスタイルを試しているが、とりわけ特筆すべきなのは、当時『スリラー』で時の人となっていたマイケル・ジャクソンとの共作が2曲(“セイ・セイ・セイ”、“ザ・マン”)も収録されていることだろう。ポールらしいセンチメントなバラッド“ソー・バッド”では柄にもなくファルセットで全編歌い上げており、ニュー・ソウルに端を発する新しいブラック・ポップの潮流にあからさまに影響を受けているのがわかる(ソウル・シンガーのように流暢に歌えてないのが微笑ましい)。
 それでも楽曲のメロディ・センスは相変わらず光っていて、キッチリと名曲に仕上げている。マイケル絡みの2曲も、アルバムの中では実に良いポジションを取っている。

 ただし後半の楽曲については、明らかに「まにあわせ」のような、たいしておもしろみのないインストの“ヘイ・ヘイ”、前作“タッグ・オブ・ウォー”の醜悪なディスコ・バージョン“タッグ・オブ・ピース”が茶を濁す。これらの楽曲は作品の無軌道さに拍車を掛けるのと同時に、アルバムとしての完成度を損ねてしまっているのが惜しいところ。ジョンの死没後、平和に目覚めたタイトル・トラック“パイプス・オブ・ピース”の出来は文句なしに良いんだけれど。

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