76年12月12日、パキスタン・カラチ・ナショナルスタジアムで行われた猪木vsアクラム・ペールワンの第2ラウンド。
猪木は手四つに組もうとしますがアクラムはこれを嫌い、猪木の組み手を手で払って応じない構え。
ならばと猪木はアクラムの首を押さえてカラー・アンド・エルボー(いわゆるロックアップ)にいきますがこれもアクラムは拒否。
アクラムは組んだら危険と考えたか猪木の誘いには乗って来ず中に入れようとしません。この辺りの動きを見ると、この試合が事前の取り決めもなく行われた試合だと言うことが感じ取れます。
猪木はアクラムに強引に組み付き投げを打って倒すと得意の右肘で相手の顔面をゴリゴリとやる荒技。嫌がるアクラム。
さらに猪木は肘と上腕を使ってアクラムの顔面を擦るとうつ伏せ状態の相手のバックに回って馬乗りとなり、スリーパーホールド。
この辺りアクラムは技術で全く対応出来ない。後に言われる「亀」の体勢で防御に回ります。
猪木はうつ伏せ状態のアクラムをスリーパーに捕らえながらも、両足を使ってアクラムの下半身の動きを止めているエグい攻めを見せます。
猪木はアクラムの足を取ってダブル・レッグロックの体勢へ。しかしアクラムは足に力を入れてこれをさせず。
テレビ放送では実況の山崎アナが「この体勢からですとボーアンド・アロー(弓矢固め)が狙えるんじゃないですか?」と猪木に質問しています。
猪木は「こう言う選手にはボーアンド・アローはかけ辛いですね」と答えていますが、ボーアンド・アローは相手が猪木を信頼して身体を預けなれば成立しない技、互いに信頼関係のないリアルファイトではそもそも無理な話です。
猪木はダブル・レッグロックにはいけず再びアクラムの顔面を攻撃、拳を顔面に押し付けています。
猪木は完全にヤル気モードでこれはもう本当に喧嘩マッチです。嫌がるアクラム、猪木はフェイスロック、アクラムはうつ伏せに倒されて猪木に馬乗りにされながらもロープへ。
ここで第2ラウンド終了。アクラム側のセコンドが血相を変えてリングに上がって来ました。猪木がアクラムの目に指を入れたというアピールです。
これに対し猪木は左腕を突き出して「先にアクラムが腕に噛みついて来た!」と猛アピール。
この試合が後々まで語り継がれている大きなポイントは猪木が故意に「アクラムの目に指を入れた」という部分です。
猪木がスリーパー、あるいはフェイスロックに移行する前の段階でアクラムが苦し紛れに猪木の左腕に「歯形が付く位の力」で噛みつき、それに怒った猪木がアクラムの目に指を入れて戦意喪失させてからスリーパーにいった、というのが定説になっていましたが、映像は暗かった上に一方向からのカメラで撮影されていて、背後からの映像もあることから細かい攻防が見て取れず、猪木が目を突いたというのは確認のしようもありませんでした。
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