練習小説『ターゲット』《真正二人称視点》
誰をターゲットとして探っているのか。右手でドアノブを回し、ゆっくり開けると
「そこまでだ。手を上げろ。そして壁を向いたまま跪け。」
背後から銃を持った男が狙っている。従うしかない。
「やっぱりあなただったのね。見損なったわ。」
男の事を知っているのか、顔に笑みを浮かべている。
「もう昔の俺は疾うに死んでしまったさ。」
男は銃を向けたままニヤついている。
靴の踵に仕込まれたナイフを使う瞬間を狙っているのか。靴に目をチラつかせながら、
「情けない男ね。それがあなたが言っていた正義だと言うの?笑える。私に指一本でも触れたら真っ二つにしてあげるから覚悟なさい。」
男がこちらに近づきながら言う。
「銃の前でお前に何が出来ると言うんだ。背中に毒針でも仕込んでいるのか?もう付きまとうな。と言っても意味は無いか。至近距離からの発砲は外す確率が低いとお前が教えてくれたな。死にな。」
殺傷距離内に入った、今。
「はっ!」
足を後ろに振り上げると、靴から飛び出したナイフが男を切りつける。男は咄嗟に引き金を引くが、目の前に姿は無い。男は崩れた。
「そう。至近距離なら外さないの。」
ターゲットはこの男。
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つまりは、一人称、二人称、三人称ともに基本は読者視点(読者思考)でないと特殊な形になってしまう事に気付いた。
そこで視点の立ち位置、思考に無理がない様な書き方の二人称小説がこれだと、現時点では思う。
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