若い頃だからこそ許されることもある。
それ自体が若さの特権なのだ。
そしてそれが許されなくなるのが大人になることの哀しさでもある。
トレインスポッティング2を見てきた。
新宿にて前作も2の前に公開しているということで仕事を終わらして急いで向かったのだが遅れてしまった。
劇場に入るとすでに映画は15分程経っていたのだが(ちょうど主人公とシックボーイが犬をエアガンで狙撃するシーンだった)やはり映画館のスクリーンで見ると何回も見ていても妙に感動してしまう。
それはノスタルジックな感情も加味されて普通に感動するのではなく『妙に』という但し書きがついてしまう。
映画の公開は90年代。 俺がはじめて見たのは13年前でまだ二十代の最初だったので当時の主人公達とほぼ同年代だった。
麻薬に溺れる若者という設定だと、大抵は陰鬱な内容になりそうだけれどもこの映画もやはり麻薬に付き物の破滅や落ちこんでしまう描写もあるが全体的にはテンポも良いし、エンディングは(主人公の裏切りはともかくとして)希望の持てる爽やかな終わりだ。
友人の家で夜中四時から見始めて終わった時は何故だかじっとしてられなくて外に出て朝焼けの街中を散歩してしまった。
我ながらイタイのか青かったのかわからないがそんな気にさせてくれた名作だった。
さて無事に1を見終わってすっかり気分はあの頃に戻って、この二十年後果たして登場人物達はどうなったのか?そしてどうなるのかワクワクしながら2を見始めた。
結果としてトレインスポッティング2の全体的な感想としては、『う〜ん?』というのが正直なところだった。
いや、映画としては悪くないし、普通に面白いのだけれど、良くも悪くも続編なのだ。
良いところはやはり中年になった主人公達の相変わらずのろくでなしなところや掛け合い、そして1の頃とは違ってもう若くない主人公達がそれでも足掻いているところはオッさんになりつつある自分としては他人事に思えなくて感情移入してしまう。
エンディングの少し物悲しいというか薄く切なくなってしまう主人公達が成功せず、元の生活に(主人公は故郷に帰ってくるが)戻っていくところは『もう若くないんだからそりゃそうだわな』と思える。
(登場人物の一人とは昔みたいには戻れなくなってるが)それでも若かった頃のような関係に戻るところが救いといえば救いか。
悪いところは前作見てないとイマイチ登場人物達の対立や関係の深さがわかりづらいので感情移入しにくいところだ。
1のような若いからこそ出来る無茶苦茶さは当然出来るはずもなく、大人になれば社会に同化していかなければならないというある種の物悲しさがこのレビューの冒頭に書いた、
若い頃だからこそ許されることもある。
それ自体が若さの特権なのだ。
そしてそれが許されなくなるのが大人になることの哀しさでもある。
2のエンディングは無茶をすることを諦めて(見方によっては成長することによって)社会に埋没していく大人の切なさが当時トレインスポッティングを見て、嵌っていた若者であった者達へのメッセージに思えた。
でも映画自体は面白いから是非見て欲しい。
個人的には1を見てから視聴するとこの気持ちがわかるかも?
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