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2016年11月13日20:10

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【映画】 「マタンゴ」(1963東宝、本多猪四朗監督)を観る

久しぶりに、自宅で映画鑑賞。「マタンゴ」をDVDで観た。

大学助教授村井(久保明)が、病室で何かを語っている。
「1人は死んだが6人は生きているんです。なぜ帰ってこなかったのかって?」
どうやらここは精神病院らしい。話してもキ○ガイ扱いされるだけだというその内容は...

村井の他、歌手の麻美(水野久美)、麻美のパトロンで青年実業家の笠井(土屋嘉男)、笠井の会社の社員でヨットのスキッパーの作田(小泉博)、作家の吉田(太刀川寛)、村井の教え子(でおそらくそれ以上の関係)の明子(八代美紀)、漁師の小山(佐原健二)の7人がヨットで南洋に出る。東宝特撮ではおなじみの魅力的な面々だ。

楽しそうに船上ではしゃぐ7人。麻美が歌い(水野久美さん、歌もうまいね)、盛り上がる。明子だけは、村井に連れられて初めて参加したらしく、ちょっと控え目でおとなしい印象だが、このあたりも、華やかな麻美との対比で面白い。タイプの違う2人の女性。

「このヨットいくらかかったと思う? 四千万よ。バッカみたい」と明子に語る麻美。

しかし、予想しなかった嵐に見舞われヨットは遭難する。なんとか島にたどり着いたが、そこは無人島のようで、食糧になりそうなものもほとんどない。そんな中、難破船を見つけたので、当面そこに住んでなんとか凌ぐことにした。難破船に残っていた記録から、マタンゴというキノコの存在を知るが、それはいかなるものなのか...。

船内にあった缶詰も少なく、だんだんと仲間割れを起こしていく。極限状態になると人間は本性が出るものだ。ヨットをなんとか修理して救助を待つことになったが、リーダー格の作田が缶詰を全部持ってヨットで一人逃亡してしまう。一番冷静で常識的だった作田がまさか、である。

夜、キノコの化物らしきものを目撃するが、それを見なかった吉田は、「みんな頭がおかしくなっただけだ」と断じる。「こんな別嬪2人と毎夜過ごして、何も出来ないんだからさあ」

吉田は麻美を求め、麻美が応じる。それを目撃した小山は嫉妬して殴りかかる。
麻美がいう。「みんなあたしが欲しいのよ」

吉田は一人、禁断のキノコを食べたらしい。それでおかしくなったのか、小山をライフルで射殺。吉田と、それをかばう麻美は、船から追い出される。

そして帰ってきた麻美は、船に残った疲れ切った3人とは違い、元気で健康そのものだ。禁断のキノコを口にしたのだ。そして、ついに笠井も明子も...。

動き回るキノコの化物。その中には、キノコの化物になりかけている吉田や麻美も。キノコを食べて幻覚を見る笠井、うっとりした表情の明子。

村井だけがなんとか島を脱出し、一人東京に帰って冒頭のシーン。その村井の顔も...

病院内のシーン以外は7人だけで話が展開する。不気味で暗く奇妙なストーリーだが、そこに人間関係の崩壊が絡んでくるのである。

この映画はなんといっても妖艶な水野久美が魅力的である。土屋嘉男と小泉博の対立も面白いし、二枚目役が多い佐原健二も、ここでは一味違う。大学の先生や会社社長など、ろくに食料探しも出来ないのを叱責し、なんとかまとめようとする場面はカッコイイ。結局は彼もまたエゴイストであったわけだが。

別宮貞雄の音楽も良い感じだ。最初の陽気な音楽から、次第に怪奇性を帯びたものに変わっていく。
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