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2016年09月15日21:26

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猪木とビンス(360)

馬場の全日本プロレスと大塚直樹が代表を勤める新日本プロレス興行(以下、新日本興行)との業務提携発表のニュースを聞かされた新日本プロレスは怒りをあらわにして新日本興行に抗議。

坂口副社長は大塚代表に対し「全日本プロレスとの提携はやめるように」と通告しましたが、大塚はこれを拒絶。

ならば坂口は大塚に「全日本の興行を買うなら、新日本の興行は売らない。ウチを取るか全日本を取るか、どちらかにしろ」と二者択一を迫っています。

新日本プロレスから見れば、新日本興行は興行を買ってくれるプロモーターであり言わば「お客様」です。観客動員が良かろうと悪かろうと、決まった興行収入が見込め、売り興行の多さは団体の人気のバロメーターでもありました。

しかし、坂口にとっては大塚は元部下でありお客様扱いなど出来る訳もなく、高圧的な態度に出ました。

この時点での新日本プロレスと全日本プロレスの観客動員力はUWFが出来て選手層が薄くなったとは言え、猪木、藤波、維新軍を抱えていた新日本の方がまだ上回っていました。

全日本も松根光雄社長体制に入って3年目に入り馬場から鶴田、天龍中心のマッチメークにシフト。スタン・ハンセン、ブルーザー・ブロディの超獣コンビを筆頭に豪華外国人が脇を固めてメンバー的には申し分なく、蔵前国技館のビッグマッチは「土曜トップスペシャル」(土曜日夜7時30分から90分枠)で特番放送されていました。

大塚は自ら興行を手掛けることで全日本プロレスの集客力を上げることはやり甲斐のある仕事でした。

84年3月21日に国内最大収容規模を誇る屋内多目的ホールである大阪城ホールに新日本がプロレス初進出を果たした時は新日本興行の主催でした。

根っからの営業集団である新日本興行は超満員札止めを目標に掲げて来ていましたが、新日本プロレス側が提供してきたカードは、猪木、坂口組vsディック・マードック、アドリアン・アドニス組、藤波vs谷津、藤原vs長州で、ノーテレビ。

藤原と長州という旬な話題の遺恨試合はありましたが、普通のテレビマッチの地方大会とさほど変わらないカード。11500人発表の観客を集めましたが大きな話題とはならず。

これが新日本の新日本興行に対する評価でした。新日本には東海地区の共同企画、東北の三浦省吾、神戸の新日企画、広島のダイサンエージェンシー、中国、四国地区の瀬戸内企画プロモーションなど古くからの付き合いのある有力なプロモーター達がおり、新参の新日本興行に美味しい思いをさせれば直ぐにクレームがつくと考えたかと思います。

なので新日本の対応も間違ってはいませんでした。

新日本興行としてはやはり新日本だけに依存していたのでは興行会社として成長することは出来なくなる、新日本と名前はついているものの子会社ではありません。

そこで一方の雄、全日本プロレスの興行を買うことになった訳です。84年6月22日の記者会見で大塚社長は「これまで通り新日本プロレスの興行も買う」とコメントしており、新日本から横槍が入ることは多分に予測は出来たものの二者択一を迫られるとは考えていませんでした。(馬場はこの事態を予見していたと思われる)

新日本にしても新日本興行の柱とも言うべき新日本プロレスの興行を買えなくなれば新日本興行は困るであろう、既に発表になっていた8月26日の田園コロシアムが終われば全日本との提携を解消してくるであろうと言う読みはあったかと思います。

しかし、大塚社長が択一したのは新日本ではなく馬場の全日本でした。新日本の申し出を大塚社長は断りました。
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