眠れない。 眠ることができない。 正確に言えば数時間は眠ることが出来る。 だがその後は呪いにかけられたように眠ることが出来ない。
その始まりは確か八月の初めのことだった。
それは何の前兆も無く、まるでスイッチが切り替わるようにある夜から私は眠れなくなった。
時刻は午前2時。 そろそろ眠らないと仕事が辛くなる時間に私は床に就いた。
いつもと変わらないベッドと部屋の中。 瞳を閉じてまどろみの底へと落ちる用意をする。
二時間後。 ふと目が覚めた。 別段トレイに行きたいわけでもない。 何故目が覚めたのだろう? とにかくまた寝てしまおう。 明日も忙しいのだから。
そう思い瞼を閉じる。 だがいつまでたっても睡眠の世界へと意識は進んでくれない。
どうしてだろう? どうしてだろう? 疑問を頭の中で羊のように数えながらそのまま日が差すまで続けていた。
これなら起きて何かしていればよかったなと朝に家を出る際に笑っていた。
これから始まる現実の悪夢に気づくこともせず。
何かおかしいとはっきり気づいたのはそれから四日ほどたったころだった。
とにかく眠れないのだ。
仕事から帰る。 部屋着に着替え、夕飯を食べ、風呂に入り、余暇をする。
そしていつもと同じように寝床へ入る。 そこまではいつもどおりだ。
だが眠ることが出来るのは2時間。 そしてその時間になるときっかりと目が覚める。 そのままいつまでも眠ることは出来ない
原因はわかってる。 ストレスだ。 毎日毎日ここは魚河岸ですか? はたまた北朝鮮? それよりはマシ? でも毎日毎日理不尽ないちゃもんにクタクタ。
会議中にいきなり言われた 寝てんじゃねえ? 目を開けて寝る奴がどこに
いやがる? それとも俺の目が細いことに対する嫌がらせ?
寝てたらノートパソコン頭に叩き込んでやがるのによ、言われた瞬間に思いついた一言
龍が如くですか? いきなりヒートモード? 自らヤクザ宣言に思わず言いたくなった 運が悪かったんだよ俺は
気がつけば心に蔓延する怒りと殺意 それがきっと原因 そうかな? そうだな。 間違いない。 間違ってない。 腕組んで頭振っちまうよ。 アイム ア
プレタリア だけど 心がもう限界なんですが。
おっと愚痴ってもしょうがない。 働かなきゃ生きていけない。 から我慢するしかない。
頭じゃわかってるけれど心はどうしようもない。 それが原因、寝ても覚めても…って寝てないけど心に満タン充填 殺意殺意殺意殺意殺意殺意。
寝ることできなければ、小雪のように降り積もる怒り。 消えること無いまるで根雪のように心底に固まる氷が。
はい、おふざけは終わり。 ここからはまた文章変えますよ。
大体この状態が2週間続きますと、妙に怒りっぽくなる。 正確に言うと被害妄想じみた考えになってくる。
いつもなら笑い飛ばせるちょっとしたジョークも遠くで笑っているのを見ただけで俺のことを馬鹿にしてやがるなという気持ちになる。
まあ妄想なのか事実なのかは未だわからないけどね。
まあさすがにコンビニの店員や道端で談笑している他人が俺のことを言ってると思うようになったときはさすがに妄想だよなと思ったけどね。
次に睡眠二時間が三週間続きますと、頭が明らかに悪くなります。
他人の話している内容がわからない。 いま話していたことが何なのかさえ忘れる。 あるいは理解できない。 言葉はわかるのに何言ってるのかわからなくなることがある。
それでもお仕事は待ってくれない。 ただただノロノロノタノタと仕事を続けます。
いい加減この辺から身体が常にだるくなってくる。 何も手につかない。
パソコン立ち上げて何しようとしたんだっけと考え込んでたら一時間たっていたたときは思わず笑えてきました。
まあ笑えないんだけどね。
その状態で4週間目に突入すると、確変モードに突入します。
夜に歩いていると、やだ!電柱に何かいる。 怖い! 近づいてみるとただのゴミ袋でした。
よく見えないものが自動的に何か別の存在に見えてくるように思えます。
ところで話は変わるんですけど、統合失調症の初期症状って寝れなくなったり妙に元気になったりするらしい。
原因はまだよくわかってないらしいんだけど、一説によるとドーパミンの過剰放出で常に脳がフル稼働するんだって。
そのうちに脳みそが疲労でぶっ壊れていって妄想を妄想と思えなくなって来るそうだ。
体験してみて思った。 なるほどこれが人が妄想に飲み込まれていく過程なのかと。
俺の脳みそはかろうじて壊れていはいなかったようで、まだ妄想を妄想と気づけているけれど、ここから先はどうなるかわからないね。
俺はもう何も思いつかない。 小説も何日も書いてない。 詩だって思いつかない。 ただただ過去と現在の理不尽への怒りと未来への絶望だけだ。
ただただこの状況を反面、面白いと思える。 この状態を記録していくためにいまこれを書いてる
果たしてこの状況を乗り切れることが出来るだろうか? それとも妄想の虚飾の世界に言ってしまって戻れなくなるのだろうか?
わからないが、まだ俺がこうして俺であるうちにこれを書こうと思う。
これが最後にならないことを祈る。 それともあちらの世界で見えたことを書き連ねるだけの人間になるのだろうか?
この文章は何日もかけて書いてる。 一週間に一節くらい?
だから途中途中で文章が変わっていってるんだ。
不思議と怖くは無い。 ただただ早く楽になりたいだけだ。
楽になりたい? んなわけねえだろ! こんなところで終われるか! でも何も思いつかない。 いや思いつく。 でも何を? わからない。 いま思ったことを自動的に書いていってるけどこの状態はなんなんだ?_
もはや怒りも無い。 悲しみも無い。 ただただリハビリのように、癖のようにただただただただおもったことを書いてるだけ。
これが小説といえるのか? 私小説でもない。 ただ徐々に壊れていく過程を書いているのだ。
これを乗り越えればまた成長できるかも? いやこのまま埋没していくかも
かつて感じたことの無い思考の嵐の中に私はいまたたされている。 いや流されている。
そう狂気へと至る道の過程を。
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