mixiユーザー(id:1362523)

2016年05月29日00:51

1437 view

「シルクロード 謎の民」

BSプレミアムの放送です。楼蘭の末裔とか謎の民とか、適当なことを…と思っていたら、そこはやはりNHKで、興味本位なあおりを排除したまともなドキュメンタリーでした。

タクラマカン砂漠の南部のオアシスの街、于田を出発してタクラマカン砂漠の奥深く入っていきます。崑崙山脈から流れるケリヤ川に沿って行くと、胡楊の茂る小さなオアシス、ケリヤブイがありました。確かにタクラマカン砂漠の奥深くにこんなオアシスが残っているのは不思議です。

ここが楼蘭と結び付けられるのにもそれなりの理由はありました。
そもそもこの地は9世紀以前はアーリア系、インド・ヨーロッパ語族に当たる人々が住んでいたのですが、ウラル山脈あたりから移動してきたことを考えますと、タクラマカン砂漠の北辺、タリム川に沿って進むと楼蘭に行き当たります。そして、今はタクラマカン砂漠に消えるケリヤ川も昔はもっと水量が多くてタリム川にそそぎこんでいたと考えられ、タリム川からケリヤ川沿いに移住していった人たちもいると考えられるわけです。

楼蘭近辺の4000年前の地層から出土したミイラ群がウルムチの研究所に保存されていますが、フェルトの帽子に羽根を差しています。ケリヤブイの北方からも約4000年前の地層からミイラが発掘されていますが、同じようなフェルトの帽子に羽根を差しています。

番組では触れられていませんでしたが、タクラマカン砂漠周辺では9世紀以降トルコ系の人々が流れ込み、言葉もトルコ系の言葉に置き換わっていきました。現在のウイグル人は言語はトルコ系のウイグル語ですが、彫りの深い顔の人や青い瞳の人がいたりします。なのでそれ以前から住んでいたアーリア系の人々と、後に入ってきたトルコ系の人々が混血したのだろうと思います。

ケリヤブイの人たちは、他のウイグル人よりも肌が白く、昔のアーリア系の血がより濃く残っているのかもしれないと思いました。
しかし、現地の人たちも自分たちの歴史についてほとんど知らないようです。400〜500年前に于田から移住したと言う人がおり、それならばこの地で孤立した状態で古代から住んでいたのではないということになります。

そもそもタクラマカン砂漠南部のオアシスは、乾燥が進んで砂漠が広がり、オアシスの街はだんだん南へ移っているのです。古代の遺跡の多くは今ではすっかり砂漠に埋もれているのです。移住したのだとしたら、なぜわざわざタクラマカン砂漠の奥地へ移住したのかよくわかりません。

しかし、興味深かったのは墓の作り方です。
亡くなった親族の40日の儀式を取材していました。墓地は小高い丘に胡楊立てられていました。私がカシュガルで見たウイグル人の墓は、棺のような形の墓石を作ってていました。ウズベキスタンでも似たような墓石があったので、ウズベク人と共通の文化があったのかと思いました。ウイグル語とウズベク語は言葉がほぼ同じですし。

しかしケリヤブイの墓は胡楊を立てるだけです。楼蘭の4000年前の墓地も小高い丘に胡楊を立てていました。
しかも、棺も胡楊で作るのですが、死者は土の上に横たえて、くりぬいた胡楊をかぶせるのです。そして暑い砂をかけると乾燥が進み、ミイラになるのです。これは4000年前の楼蘭の死者と同じ葬り方だというのです。

ケリヤブイの人たちは羊を飼って生活しています。羊は胡楊の葉を食べます。育った羊は、于田などの街のオアシスへ行って売ります。歩いて10日ぐらいかけて行くとか…。でも今は携帯が通じるようになって、値段の相場など売り時を確認してから行くとか。
ケリヤブイの小学校は3年生までで、4年生になると街の寄宿学校へ行きます。夏休みになると子どもたちが帰ってきます。
于田でのバザールの様子、羊の売り買いの様子も映っていました。
昔ながらのオアシスの街の営みや生活を感じさせる情景でした。

しかし、ケリヤ川の水が年ごとに減っています。上流の街の人口が増え、下流まで行き渡らなくなっているのです。しかもケリヤブイ自体の人口も増えているので、このままでは生活ができなくなっていきます。現地政府は上流のオアシスへの移住を奨励しています。しかしゲリヤブイの人たちは堤防を築いて川の流れを変え、胡楊の林に水が行き渡るよう努力していました。

砂漠の奥のひっそりとした小さな村の様子が、余計な注釈や過剰な語りもなくそのまま伝わってくるような番組でした。

検索したら取材事情が書いてありました。
http://www.nhk.or.jp/bs-blog/2000/245289.html
7 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年05月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031