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2016年04月17日10:10

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游月アーカイブス『空振り』

(2014年 6/21 作)


鼻先の空に点が動いている
ちいさな虫は
あぶらに濡れた地に降り立つ
しばらくして
遠く地平線のむこうを昇ってくる掌が左目で捉えられる
しかし、未だにあぶらを舐めている

未来は確定していない
掌は逸れてふたたび地平線へと消え去るかもしれない
それでも爆風にはあおられるだろう

否、考えていない

行き当たりばったりが
ちいさな虫という種全体としての
生きるすべを弾き出す記憶となって、
掌が地平線を切った今、
ちいさな虫は鼻を飛び立ち
点は幾つもの点にまぎれた

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