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2015年09月26日17:38

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読書日記No.856(宅配業界、最新ルポ)

■横田増生「仁義なき宅配」2015年9月小学館刊

副題は、“ヤマトvs佐川vs日本郵便vsアマゾン”。

ネット通販が、これほど隆盛になるとは、10年前には想像できなかったが、
今や、本も家電も衣料も雑貨も、ネット通販がリアル店舗を圧倒している。

そのネット通販を支える、要の基盤は、宅配で、私はネット通販はしないが、
家人がよくするので、本日も、午前、午後と宅配を受け取った。

社会的インフラとなった宅配の業界は、どうなっているのか。そこで働く
労働者たちはどうか。興味津々で、本書を手に取った。

著者の横田さんは、ヒットをいくつも飛ばすルポライターで、以前にも
「ユニクロ帝国の光と影」や、「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」を読んだ
ことがある。そういえば、毛色が変わった「評伝 ナンシー関」も読んだなぁ。

著者は、物流業界紙「輸送経済」の記者や編集長を務めたこともあるので、
輸送業界には鼻が利き、だから本書も、本筋を突く。

早速、惹句を紹介。

“前代未聞の潜入労働ルポ!”

“いまや日本最大の成長産業とも言われる宅配ビジネス。ヤマト運輸、佐川急便、
日本郵便の大手三社は日々、どこよりも「速く安く多く」運ぶための苛烈なシェア
争いを行っている。”

“だがその一方で、アマゾンをはじめとするネット通販の「即日宅配」まで可能にする
宅配業界の現場は、いままでベールに包まれたままだった。そこで著者は、宅配
ドライバーの助手に扮し、あるいは物流センターのバイトとして働くという、
「潜入労働ルポ」を敢行する。そこで見えてきた、宅配戦争の「光と影」とはーー。”

“アマゾン、ユニクロの内幕を暴き「企業に最も嫌われるジャーナリスト」の異名を
持つ著者が放つ、衝撃のビジネス・ノンフィクション。”

“アマゾン、ユニクロに潜入した次の標的は、ベールに包まれた「宅配ビジネス」だった。
「企業にもっとも嫌われる」ジャーナリストが書く、衝撃の潜入労働ルポ!「送料無料」の
暗部に迫る! ”

まさに身体をはった迫真のルポ。章立てと小見出しの抜粋も紹介。

第一章 迫り来る「宅配ビックバン」
 ・宅配の軽トラに“横乗り”
 ・アマゾンの荷物は正直「しんどい」
 ・ヤマトのクール宅急便問題
第二章 佐川「下請けドライバー」同乗ルポ
 ・夜間の幹線輸送車に“横乗り”
 ・下請けへの運賃値下げ
 ・佐川が引き起こした“パンク”
第三章 「風雲児」佐川が成り上がるまで
 ・他社が断った荷物を集めた
 ・東京佐川急便事件の真相
第四章 ヤマトはいかにして「覇者」となったか
 ・宅急便に役員たちは反対していた
 ・企業発の宅配に進出した契機
第五章 日本郵便「逆転の独り勝ち」の真相
 ・ローソンを取り込む
 ・ペリカン便との統合問題
第六章 宅配ドライバーの過労ブルース
 ・過労死ラインを超えていた
 ・「佐川で三年間働くと家が建つ」も今は昔
第七章 ヤマト「羽田クロノゲート」潜入記
 ・夜間労働者の四割は外国人
 ・クール宅急便の仕分け室は、10度C
 ・通販業界の過度な要求
終章 宅配に「送料無料」はあり得ない

第三〜第五章の三章は、佐川、ヤマト、日本郵便の宅配トップ3の
関係者インタビューを含む、企業研究レポートだが、あとの章は、
すべて、現場潜入ルポで、第七章では、実際にアルバイトとして
ヤマトの巨大仕分けセンターで2ヶ月働いている。

宅配は、ユーザにとっては、便利でありがたいもので、もう、生活に
なくてはならないインフラだが、それを支える現場は悲鳴をあげている。

ここ数年、「週刊東洋経済」や「日経ビジネス」などのビジネス誌が
毎年のように宅配便や物流について取り上げるようになってきていて、
「物流は今、旬の話題」である。

ユーザにとっては、適正料金をきちんと払って、このインフラが健全に
発展していって欲しいと願ってやまない。
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