『さえずり』150819
記憶力の悪いオレが
鳥のさえずりが聞こえると
絵の具をといた灰いろの水が澄んで
ひろがった視界の真ん中に
花びらが降る
あまい香りが鼻を通りぬける
寸前で振りはらい
コンクリートに打ちつける
喰いしばる
来た道をヘラヘラとあざ笑い
近づかず
離れず
遠くのさえずりが聞こえる
細胞に仕掛けられた再生の時限爆弾が
不意にオレを襲う
逃げるしか能がないオレは
近づかず
離れず
どうしていつまでも
『レコード』150820
身に刻まれた傷をふとした風が撫で
古く哀しい歌がかすかに聞こえてくる
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