貝殻は夢を見た
まぼろしを包んで光を浴びて
夢と夢とがかさなれば
あやつり人形のダンスは楽しい
いつしか糸はすり切れて
浜をかなたへ走りはじめる
砂丘のむこうを知りたくても
頂までの道のりは青い空にすけていた
長い時を過ごし振りかえれば
大きくなったカラダの足もとに
一筋のちっぽけな轍
ふと己が頂になっていることに気づけば
くずれる砂山の早さを知る
湿った岸辺へと流されながら
仰いだ空の色は赤くなっている
握りしめていたと思ったものは
金色にかがやくまぼろしで
それでもずっと握りしめていて
波にさらわれたとき
開いたこぶしは星空をうつしていた
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