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2015年02月09日02:15

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詩 「耳朶に吹く風」

 かつて好きだった歌が今は悲しい。

 どんな歌も素敵な歌詞もすべてがその時の気持ちしだいでこんなに悲しくなるなんて……。
 
 どんな心地よいメロディーも今はむなしく素通りして心にわずかなエコーが響くだけ。 

 空っぽだ。

 頭ではなく心で理解できる。

 空っぽなのだ。

 身体が頭がまるでぽっかりと空間ができたように『かつて好きだった歌』の残響が響くだけ。

 昔に読んだ本の登場人物が退場する時に言った言葉が思い出される。
 
 「ああ、風が止んだじゃないか……」

 それはもしかしたら今この瞬間も体内で響く歌声の残滓達のことではないだろうか?

 そしてそれは自分自身の死が近いことを知らせる。

 過失か故意かあるいは他人によってか……。

 いずれにしても自分は長生きはできないでしょう。

 それこそ過失か故意かあるいは自分自身もしくは他人によってか……。 


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