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2015年01月29日04:31

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■獺狐余話(153) / 「懐かしいものと近しいもの」

●2015年01月29日(水)   午前4時30分

 ▼「ナラトさん。
   きょうの『映画』、ずいぶん古い映画ですね。
   なんで、こんな映画をとりあげたのですか・・・?」

    



 ▼「ああ、これ、
   きょうの「what's new?」のこと・・?  『山本嘉次郎・監督「綴方教室(1938年)』だね。

     「『綴方教室』は、
     1930年代に、鈴木三重吉が提唱した「生活綴方運動」の中で、東京・下町の
     本田小学校で、当時、小学校4年の豊田正子が書いた作文(「綴り方」)26篇を、
     三重吉の主宰する雑誌『赤い鳥』にこれを掲載した。そして、1937年には一冊に
     まとめ出版されたが、その『本』の題名」
   
   なんだ」

  「1937年というと、昭和12年で、この年に日中戦争がはじまり、翌年には国家総動員令が
   公布され、あと、昭和20年の敗戦へと日本が突き進んでいく時代ですね・・・」


 ▼「そうなんだ。 そして 『綴方教室』は『映画』にもなったんだ。

   キツネくん、この映画もそうなんだけど、『naratoスペシャル』でとりあげた小津安二郎の
   作品など、昭和10年代の『映画』は、なんとなく、その風景に見覚えがあるんだ・・・」


  「ナラトさん。
   それは、ちょっと、おかしいではないですか。 
   ナラトさんは、敗戦の年、昭和20年、1945年の生まれでしょう。
   そうすると、ものごころがついたのが、5、6歳の昭和25年ごろとして、
   それらの『映画』は、そのときより10年から15年も前の風景ではないですか・・・」


 ▼「キツネくん。
   経済白書が『もはや戦後ではない』と書いたのは、昭和31年、1956年のことで、
   そのころまでの日本は、敗戦はあったものの、庶民の姿や気持ちは、焼け跡や
   民主主義と関係なく、ずっと連続しているような気がする・・・。

  知識人には、「敗戦」や「戦争責任」や「民主主義」は大問題だろうかもしれないけど、
  そんな思想とは関係なく、生活の思想をもっている庶民は、まず暮らしを立てること、
  これが「考え」の大半を占めている・・。

  生活に根ざした「考え」、「生活の思想」は、深いところで、戦前も戦後も、そう変わって
  はいない。
  変わったと思ったのは、知識人だけだと思う。 


  しかし、庶民の暮らしが変化してきた、いわゆる「高度成長期」、豊かになったその生活を
  どう考えたらいいのか、庶民は迷ったのだと、思う・・・。


 ▼「ナラトさん。
   通説とは異なるヘンなこと、言いますね・・」


  「キツネくん。
   ボクは、『きょうの一曲!』で流行歌を流しているが、ここに流れている曲のだいたいが
  昭和30年代以降の「高度成長期」と重なるころの歌なんだ。

  ボクの中学、高校、そして大学に進学する頃とも、重なっている。
  だから、これらの流行歌は『懐かしい』ものである。


  しかし、昭和10年代の『映画』、あるいは、敗戦後の昭和20年代の『映画』は、
  ボクにとって、『近しい(親しい)』ものであって、『懐かしい』というのとは、少しちがうんだ」


 ▼「えっ、『懐かしい』と『近しい』とは、異なる感情なんですか????」


  「そりゃあ、そうだろう。
   自分の故郷は、『懐かしい』し、『近しい』ものではあるが、『近しさ』とは、
   自分の立っている、いまの場所と、かつての場所との間にあって、その二つをつなぐ
   糸、その糸がつながっている自覚に根拠をもつものではなかろうか・・。

  それは、ただの『旧懐』にとどまるものではないだろう・・・」


  「ふーむ、そうですか・・・」

 ▼「長くなりそうなんで、もう、やめるけど、ボクは、敗戦を迎えたときの、
   ボクの母と、三島由紀夫と、吉本隆明とを、比較する。 三人は、敗戦をどう考え
   どう行動したか・・。 (まあ、鶴見俊輔を加え、四人を比較してもいいが・・)

  そして、昭和30年代から40年代にかけて、「高度成長期」、あるいは「大衆社会」を
  迎え、三人、あるいは四人は、何を考え、どんなことをしたのか、そんなことを思った
  のだよ」

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