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2015年01月20日02:12

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■獺狐余話(148) / 「木下惠介さんと山田太一さん」

●2015年01月20日(火)   晴れ

 ▼「ナラトさん。
   きのおの続きですが、オレ、しゃべってええんですか?」

  「キツネくん。
   しゃべっていいどころか、ボクはきみの、歯に衣着せぬ『話』を聞きたいと、
   思っているんだ・・」


  「オレが問題にしているのは、きのおも、ゆうたように、山田太一さんの
   2014年11月14日 14:00〜 15:30 に行われた、日本記者クラブでの講演、
   『戦後70年 語る・問う』第5回の発言なんやけど、そのことは、読売新聞出身の
   鈴木 嘉一さんが、次のように纏めておる部分なんや・・」

      『会場からは、政治への関心など幅広い質問が飛び出した。
       松竹時代に仕えた木下恵介監督への評価を聞かれると、
       「悪いところもいいと言う義理はないが、口にしないくらいの義理はありますよね」
       と笑わせた』


 ▼「この部分なんやけど、これだけでは、何のことやら、わからんと思うので、その講演が
   『YouTube』に載っておるので、ここに貼りつけておく。」

     



 ▼「で、オレが問題にしておる、さっきの部分は、この講演の最後の最後の部分で、
   最後に、日本記者クラブの個人会員の「カワキタ」ちゅう人の質問なんです。


   この「日記」でも、カワキタさんへの山田太一さんの対応の仕方について
   書いとった。」

    ・http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1936406504&owner_id=1040600


 ▼「ナラトさん。この『日記』は、オレがナラトさんの言葉を書いたものですが、
 
    『いつか、日本記者クラブで、山田太一さんは、「よく間違えられるのですが・・」と、
     <山田洋次と山田太一>はどうちがうのか、という記者の質問に、やんわりと、
     そう対応しました。』

   とゆう、<山田洋次と山田太一>の比較なんですが、いまの問題は、<木下惠介と
   山田太一>の比較なんです・・」


  「そうだねぇ、このときの山田太一さんの切り返しも、抜群だと、ボクも最初、聞いた
   ときは、思ったんだ・・。

   『悪いところもいいと言う義理はないが、口にしないくらいの義理はありますよね』
  なんて切り返し、軽妙じゃないか・・・」


 ▼「そうなんです。
    でも、木下惠介・監督の『日本の悲劇』を、ナラトさんに薦められて観て、
   山田太一さんは、もっと、木下惠介さんを評価したほうが、いいのではないか・・、
   と、思ったわけです・・・」


  「キツネくん。
   まさに、ボクも、その点について、山田太一さんに、おやっ、と疑問符をつけたんだ」


  「そうです。この講演会は、『戦後70年 語る・問う』というタイトルで語られているし、
   日本が敗戦したとき、山田太一さんは、小学校5年生だったと、語っていて、いまの
   戦争を知らない若い人が、軽々に『戦争物』を作る『あやうさ』にも、ふれているのです。

   木下惠介さんが作った『日本の悲劇』は、ちょうど、山田さんが育った時代で、
   大衆食堂のムスコの山田太一さんが早稲田大学に受かったのと、『日本の悲劇』の
   熱海の旅館の女中のムスコ・井上清一は、よく似た年恰好なんです・・。

   山田太一さんは、この『映画』は、木下惠介・監督の助監督をしておったから、きっと
   作品は知っているし、観ておられると思うのです。

   だとしたら、黒澤明と木下惠介とを比較して、カワキタさんが「小津安二郎はいいが、
   木下惠介は、果たして、小津や黒澤と同じ高さで、映画史上に名を残すべき『名匠』か
   と問われたら、そんなユーモアでなく、もっと真摯に答えるべきてある、それでないと、
   山田さんの発言は、この作品を知らない多くの人にとっては、決定的な『判定』を下し、
   しかも、知らず知らずのうちに、木下惠介・監督を『侮蔑』し、笑っていることになりは
   しないか、と思ったのです・・・」


 ▼「なるほど、キツネくん。
   ボクも、この『映画』を見たとき、政治を告発する映画なのか、と一瞬、思ったが、
   そうではない・・・。

   山田さんが作る『ドラマ』と同じテーマの、『家族』の『話』なのだ。
   しかも、テレビ『ドラマ』でなく、劇場『映画』なのだ。

   
   ひょっとすると、山田さんがこの『日本の悲劇』を見たときは、そのときの社会状況からは、
   『図式的』に見えたのかもしれない、と、思ったりする・・・。


   けれども、製作した1953年から60年過ぎると、冒頭にある新聞記事の映像や
   政治的に見えるすべてが、庶民の生活の記録であり、『ドラマ』の背景として、きわだった
   役割を果たしていると、と思う・・。

   山田さんは、『政治からなるべく遠くに・・』というスタンスであり、ボクもその立場を
   支持している。 文学というか、映画やドラマや芸術や文化や思想は、『政治』そのものでは
   ないから、政治に利用されたり、また政治にしたりするものではない、と思う・・。

   けれども、政治はいやおうなく、人々の暮らしに踏み込んできて影をおとす。
   そのときは、生活の側から、思想や文化や芸術の側から、政治と闘わなければ
   ならない・・。

   それは、政治から独立するための戦いだ・・。

   むかし、「文学と政治と人生」というテーマで、ボクも「日記」を書いたことがあるけど、
   ボクなんか、まったくの非政治的な人間が、労働組合にかかわったのも、それが
   生活の側、庶民の側の、思想や文化の戦いだったからで、既存の政党や政治運動と
   連動するものではなかった・・。 『身に降る火の粉は、はらわにゃならぬ』、ただ
   それだけだった・・・。


 ▼「オレ、むつかしいこと、ゆわれると、どんどんどんどん、わからんように、なってまう
   けど、『日本の悲劇』はいまも続いている問題やと思うので、戦後70年を記念して
   戦争を知らない人も、知っている人も、政治的に右の人も左の人も、そして老若男女
   に観てもろたら、ええと思うんや・・・」

    
         



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