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2014年12月02日23:42

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■獺狐余話(112) / 「あとで、では遅すぎる・・」

●2014年12月02日(火)   曇り  風、冷たし

 ▼「ナラトさん。
   宮崎の『ヒダカ』って、誰なんですか・・・?
   さっきの長電話の相手・・?」

  「ああ、ボクの小さいころの友だち・・なんだ。
   友だち、というより、当時は、ケンカ相手さ・・」

  「えっ、ケンカ相手ですか。
   で、ケンカは、どっちが強いんですか?」

  「無論、ヒダカくんさ。 彼は、体は頑丈で、腕力も強かった・・。
   小学校の五、六年のときに、宮崎市の相撲大会で優勝
   したこともある、こども『横綱』なんだ」


  「へぇ、そうなんですか・・」


 ▼「まあ、クラスでは、腕白坊主の、ガキ大将みたいな存在だったね。
  
   彼が掃除をサボったり、悪ふざけ、なんかすると、
   ボクはクラスの委員長だったので、彼に注意する・・。
   が、彼は、ボクのいうことを聞かない。

   で、二人は、衝突してケンカとなる。
   ときには、取っ組み合いのケンカになって
   ボクは、彼に、よく泣かされていたよ・・」


 ▼「ナラトさんが勝ったことは、ないんです?」

  「ああ、一度もないね。 ケンカを何戦したか、覚えていないが
   全敗だったのは、確実に覚えている・・」

  「じゃあ、憎っき相手じゃないですか・・」

  「そうなんだ。
  どうしたことか、ボクが宮崎に引っ越してきた小学四年から、
  卒業する、六年まで、彼とは、ずっと同じクラスだったから、
  小学時代を通じて、彼とは、ずっと、そんな関係で、真実、
   『ケンカ相手』と呼べる人だよ」

  「そりゃあ、もう『宿敵』ですね・・・」


 ▼「そう、その『宿敵』と、中学一年で、また同じクラスになった。
   さすがに、中学にあがると、大人になる・・。

   対立しても、そうそう、ケンカにまでは至らない。
   だが、ボクは、その中学一年のとき、彼と大喧嘩をした。

   昼休み、ボクは石炭殻を敷いた校庭で、彼に組み伏せられ
   殴られたように思う。 石炭殻が手足にあたって痛かった。
   ボクは組み伏せられても、降伏はしなかった。 小学生のときのように
   泣きもしなかった・・・」



 ▼「完全にケンカでは、負けているのに、それでも、降伏しないので
   彼は、ボクをそれ以上に負かすことができなくて、ケンカに興味を
   失ったかのように、殴るのが鈍った。

   下になっていたボクは起き上がり、再び、彼に向った・・。
   が、もう、それ以上、ケンカは続かず、彼は逃げた・・
   と、ボクは思った・・」


 ▼「彼は中学を卒業すると、家業の魚屋を継いだようだ・・・。
   彼についての思い出は、その中学一年のときの『大喧嘩』以降、
   ボクには、さっぱりないのだ・・・。

   ところが、ボクが大学生になって、神戸から帰省した折、家の近くの
   銭湯で、彼とバッタリ、会ったんだ・・」



 ▼「うわぁ、それは大変!」

  「キツネくん。 それは見当違いだ。
   ボクたちは、5年ぶりくらいだろうか、久々に偶然、再会し
   なんとも言えぬ『友情』を感じあったのだよ・・」


 ▼「彼は、その後、町の小さな魚屋ではなく、マグロなどを
   解体処理して、それを県外に出荷するような工場をもつ
   魚屋になった・・。

   いつだったか、ボクの働いている生協でも、マグロを取り扱ってもらえないか、
   という相談を受けたりした・・」


  「で、ヒダカさんの用件は、何だったんですか・・?」

  「こんど、億のカネをかけて、新工場を開設した・・、
   ムスコが、あとを引き継いでくれるようになった・・、
   そんな近況のほかは、昔話さ。

   ひょっとすると、商用の『話』だったかも知れないが、
   30分くらい昔話をしたけど、ついぞ、彼の口からは
   仕事の『話』はなかった・・。 

   特に用件はない、といって、
   来年あたり70歳の記念で、中学校の『同窓会』をやりたいなぁ、と
   言っていたよ・・」


 ▼「ふーむ、そうなんですか。
   そんなことで、突然、用もなく、夜に電話してくるのですか・・?」

  「いや、ボクだって、あの阪神・淡路の大震災のあと、
   突然に、思い立って、日ごろ無沙汰をしていた人に電話したり、
   訪ねたりした。

   すると、もう、亡くなってた人が二人もあったりして・・・」

   
  「久しく無沙汰のまま、また会えると思っていたら、
   すでに相手は、亡くなってた・・。そうゆうことも、
   世間には、いっぱい、ありますねぇ・・・」  
  

  「だから、ヒダカくんの電話で、『まっ、いいか・・』で日ごろは
   済ませているけど、なかには、『あとで、では遅すぎる・・』
   ということも、あることを、ボクは思ったんだ・・」


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           2014.12.02 (No.296)  
 

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