焦げくさい咳が出る
後頭部からの神経が首を刺している
昨日の女医はかろやかに
「弱い風邪ですねー」
と語尾をのばした
[安心]
と
[そんな雑魚に荒らされるほど俺は弱っているのかという無念]
の二つが乗っかった天秤の上の方で
女医は俺をにこやかに見下ろしてくれた
「珍しいですね」とか
「子供がかかるやつ?」とか
「またですか?」って
知人に憐れまれられたくないが
(ラリってるか?)
それにしても腹が減る
この弱い風邪が
俺の食べ物を横取りしている
女医から貰った抗生剤で
食べ物とお前の死骸もろとも
俺の体に取り込んでやる
ログインしてコメントを確認・投稿する