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2014年11月24日19:53

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【音楽】 伊福部昭百年紀演奏会 Vol.3

今日は「伊福部昭百年紀コンサート」のVol.3を聴きに行った。2/1のVol.1、7/21のVol.2に続き、今年3回目の「百年紀コンサート」だ。1回目も2回目も大いに楽しめたが、回を追う毎にますます素晴らしいものになっている。

会場は錦糸町の「すみだトリフォニー」で、開演を知らせる合図もこれまで同様、ゴジラの足音と鳴声だ。

さて、今日のプログラムは次のとおりである。

 ・HBCテレビ放送開始と終了のテーマ
 ・北海道讃歌
 ・「大怪獣バラン」組曲
 ・「ゴジラ」組曲(改訂版)
 ・「モスラ対ゴジラ」組曲
 ・「キングコング対ゴジラ」組曲
 ・「海底軍艦」より

  (齊藤一郎指揮 オーケストラ・トリプーティク/百年紀演奏会合唱団)

事前にチラシを見て、今回は初めて聴く曲はないなと思っていたら、急遽「HBCテレビ放送開始と終了のテーマ」が加わったとのことである。もちろん初めて聴く曲だ。しかし、北海道のテレビ放送の開始と終了の音楽を本州で聴けるとは思わないし、まさか生演奏で聴けるとは想像出来ただろうか。実際聴いてみるとけっこういい曲なのである。このような曲まで演奏会で取り上げられるとは、すごいとしかいいようがない。 

「北海道讃歌」は、金子美香のメゾソプラノ/川上敦子のピアノでCDでは聴いていたが、オーケストラと合唱で聴くのはもちろん初めてだ。北海道の大地のイメージそのままの素晴らしい曲で、「北海道では公式行事でもよく歌われていたが、道外ではまず歌われることがない」と言われる幻の作品だが、埋もれさせるには勿体ない作品だ。東京の合唱団などどこかが取り上げてくれないかな。

さて、今日も前回同様に井上誠さんの司会だ。前回同様に説明は控え目で、音楽自体を楽しんでもらおうという感じである。(詳しい解説はパンフレットを読めばいいので)

北海道にちなむ曲のあとは、特撮映画音楽シリーズだ。まずは「大怪獣バラン」組曲から始まる。岩手県の秘境の村に伝わるバラダギ信仰、そこから出現する怪獣バラン、そして後半はお馴染みの自衛隊対怪獣の戦いが東京羽田で展開される訳だが、秘境の神秘を表現した合唱も含めて、音楽を聴いただけで映画の展開が再現できるくらい、場面場面に音楽が工夫されているなと改めて感じた。

ここでゲストの宝田明さんが登場。1954年の「ゴジラ」以来、伊福部昭が音楽を担当した特撮映画に何本も出演されている。今日のトークも、「ゴジラ」に込めた想いを若い世代にも伝えたいと熱いトークだった。宝田さんのトークが終わり客席に戻る際に、なぜか私のところで立ち止まり右手を差し出されたので、思わず握手をした。私のことをどなたか似ている人と勘違いされたのか分からないが、なんだかすごく得した気分。

次は「ゴジラ」組曲だが、第1回に演奏したものから少し改訂されている。「平和の祈り」を追加したのが主な改訂内容だ。今年何回聴いたか分からない「ゴジラのテーマ」にはじまり、お馴染みすぎる曲が展開する。さすがに今日は何回目かなので大丈夫だろうと思っていた「鎮魂歌」では、やはり涙腺崩壊。ファファファファミ〜、ラソファミ〜、と単純な音階なのに、ここまで聴くといつも来てしまうのである。もちろん今日も合唱付きである。まさに「美しい乙女の鎮魂の歌声」なのである。

休憩のあとは「モスラ対ゴジラ」組曲から始まる。合唱団のうち女性2人だけが、オルガンのあるテラス上にいる。映画ではザ・ピーナッツが演じたインファント島の小美人が歌う歌を2人で歌うのだとすぐに分かる。美しい曲の「聖なる泉」や「マハラ・モスラ」をじっくりと聴かせてくれた。これは「歌」のしめる部分が大きい組曲だ。「マハラ・モスラ」のメロディがこの映画の音楽全体をつつんでいる感じだし。合唱のセンター付近にいた女性も素晴らしかった。

「キングコング対ゴジラ」組曲も、南海の島における原住民の音楽という、まさに伊福部昭の得意な部分が中心になっている。つい、A si anaroi Aseke Samoai...と、身体がリズムを感じて一体になってしまう。これも合唱付きの演奏会だからこそ出来た組曲だ。映画自体はちょっとコミカル系だが、やはり伊福部音楽なしには成立しえなかっただろうなと改めて思った。

最後は「海底軍艦」だ。第1回にも組曲を演奏したが、今回は合唱が加わったことで、メインタイトルに続けて「ムウ帝国の祈り」を演奏した。エキゾチックな音楽も伊福部の得意とするところだ。これも素晴らしい演奏だった。

さて、最後にアンコール演奏は、「キングコング対ゴジラ」のメインタイトルをもう一度だが、なんと客席も全員参加である。合唱メンバーの根岸さんの「指導」で通して「練習」したあと、すぐに本番。客席も全員起立して、ステージの演奏と一体になって、A si anaroi Aseke Samoai...と3回繰り返し、大いに盛り上がった。プログラムの裏に歌詞(何語か分からないが作詞も伊福部昭である)がわざわざ書いてあるのはそういう訳だったのか。もっとも、指揮者の齊藤さんの言うように、「今日会場に来られている人は、すでに空で歌える人も多いかと思います」だろうし、全然問題なく盛り上がった。

今回の演奏会の録音もCDが発売されるとのことなので、あとでもう一度楽しむことが出来るのはうれしい。おそらく今回で一旦区切りだろうが、最後は盛大に終わり、大いに満足の2時間、いや1回目、2回目と合わせて6時間であった。

この演奏会にやはり来ていたマイミクのこめへんさんと会場で会った。「濃い話」をしつつ帰った。
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