おお、我が一世一代の告白劇が
其処にいる筈もない男に
何と、見られていたとは!
私は胸を締めつけられる思いのさなか
天国と地獄を分ける鋭い尾根を
一足ごとに地を確かめながら渡っていった
万里にも思える道のりを進んで来た体は
すでにズタズタになり
谷底へと落ちんばかりに困憊していた
しかし私はこの高い空の匂いを信じていた
今日この時を逃してはならぬ
この先の頂におはす女神は
必ずや私にほほえんで下さるのだ!
おお、我が愛すべき女神よ
おお、我が胸の調べに
御耳をかたむけたまへ!
女神の香ぐはしきほほえみは
我がまなこをして輝かさせ
天上から降りそそがれし囀りは
我が耳をして薔薇色に染める
嗚呼、なんという歓び!
なんという幸せ!
我らのすすむ路は広く果てしない
二度と闇に苛まれることのない未来!
私は温かな風につつまれ
地を離れ、宙を舞っていた
その告白劇を旧友に見られていたのだ
“ なんか良い雰囲気やったバイ ”
“ うっ!ま、マジで⁈ 見とったと⁈ ”
否、其の事が何とせん
我が希いし女神の愛よ永遠に!
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