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2014年11月11日16:29

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■獺狐余話(99)　/　「一日の長さ」

●2014年11月11日（火）　　曇り

　▼「キツネくん。
　　　一日の長さって、どうやって決まるのだろう？」

　　「ナラトさん。
　　　何ですか、また、藪から棒に・・・。
　　　
　　　『一日の長さ』は、２４時間に決まっているじゃないですか。
　　それとも、『日の出』から『日の入り』までの、時間の長さですか？」

　　「いや、そうではなくて、人が感じる『一日の長さ』のことだよ。
　　　いま、だいたい、午後４時だが、きのうの午後４時から、
　　　いままで、ちょうど２４時間で、一日が過ぎた勘定になる・・」

　▼「けれども、ボクには、それが３日か、４日かに、いま思われるのだよ・・」

　　「３日か、４日。そりゃぁ、ずいぶん長いですね。ちょっと得した感じですか・・？」

　　「きみは、すぐ損得で物事を考えるが、損得で測れないものも、いっぱいある・・」

　　「そんなの、オレだって知ってます。
　　　オレが思ったのは、『浦島太郎』の逆だからです・・・」

　　「うーむ、なるほど。
　　　そういうこと？　だったら、いいんだけど、たしかに、『浦島太郎』は
　　　竜宮城で、どれくらいだろう、『本』にあたって調べてないけど、まあ
　　　長くても１年は暮らしていない・・。

　　ところが、『玉手箱』を開けた途端に現実の時間にもどって、白髪の老人に
　　なった、ということだ・・・」

　▼「そうです。不思議な『話』ではありますが、何かの『譬え』でしょうか？
　　　オレだって、時を忘れて夢中になることがあります。

　　　兎を追っかけまわして、野山を駆け巡っていたりすると、時間は
　　　あっと言う間に、過ぎていきます。

　　　だいたいが、夢中になったときは、時間は早く過ぎるのではないですか・・」

　　「ボクも、キツネくんのように、夢中になってるときは、時間は早く過ぎ去る・・。
　　　でも、一日のうちに、いろんな出来事があると、一日は長い。
　　　反対に、単調な一日は短い・・」

　▼「ああ、それは言えてるかも・・。
　　　オレも、そんな経験、あります、あります。

　　　野ネズミ一匹つかまえられなくて、へとへとになって野山を駆け巡り、
　　　しょうがないから、人里降りて、鶏小屋を襲ったら、犬に吠えられ、
　　　逃げようとしたら、そこの家の婆さんが出てきて、天秤棒で、しこたま
　　　オレをなぐりつけ、金網から抜け出ようとしたら、尻尾をつかまれ、
　　　必死に、それをふりはらって、塒(ねぐら)に帰ったものの、腹はすくやら
　　　尻尾の付け根と、耳や頭や脇腹に叩かれたあとがあって、もう
　　　寝るに寝られぬ一夜を過ごしたことがあります。

　　ああ、あの晩の長かったこと・・・」

　▼「あははは・・。
　　　そんなことがあったの？」

　　「まあ、ナラトさんは、お気楽でいいです。
　　　たっぷり時間を使って、『映画』を見たり、昔のことを
　　　思い出したりして、あっちや、こっちの『時間』にひたっておれば、
　　　そりゃぁ、一日は長いでしょう・・・」

　　「あれれ・・・。
　　　『話』がヘンな方向にいっちゃったけど、キツネくん。

　　　キツネくんも、ゆっくり、たっぷり、『昔の時間』に、ひたってみないかね・・・」

　　　　　　