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2014年11月09日23:52

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■獺狐余話(97)　/　「見舞い」

●2014年11月09日（日）　　雨のち曇り

　▼「ナラトさん。　
　　　どうでした・・・？」

　　「うん、３、４日前から、あまり食べないらしい。
　　　それまでは、ちゃんと食べていて、リハビリして
　　　退院というような話も、出てたんだって・・・」

　　「そうですか。いつから入院してるんですか？」

　　「先月の２４日に肺炎で搬送されて、そのあとは順調に
　　　推移してたらしい。
　　　それが、さっき言ったように、３、４日前から食欲がなくなり、
　　　お腹のほうに少し痛みがあるとのことだ」

　▼「ナラトさんが法事の連絡をしたのは、いつでした？」

　　「たしか、９月だったと思うけど、そのときは元気で、電話で
　　　１１月の法事まで身がもつか、なんて、奥さんは冗談で、言ってたんだが・・」

　　「ふーむ、そうですか・・」

　　「法事で淡路に行くの、楽しみにしてたらしいけど、今回は無理みたいだ」

　　「そりゃ、そうでしょう。無理したら、あかんです」

　▼「喉頭癌だろう、叔父がしゃべってることが、何を言ってるのか、
　　　パクパク、口を開け閉めしているのを、状況や流れから推測するのだが
　　　半分はわからない・・」

　　「筆談はしないのですか？」

　　「ああ、面倒なんだろう、全然、しないらしい・・」

　　「じゃあ、意志疎通は、なかなか困難とゆうか、細かな所が
　　伝わらないではないですか」

　　「ボクもそう思うのだが、叔父は、そんな状態を受け入れている、
　　　とでも言うのだろうか、『まあ、いいか』で、やり過ごしているような
　　　そんな感じだった・・」

　　「ふーむ、・・・・」

　　「外を眺めている叔父の視線が、なんか哲学的に見えたなぁ・・・」

　▼「あれ、ナラトさん。
　　　こんな『本』、もって行ったんですか・・」

　　「ああ、この『本』のこと。　この人の『本』、前にも読んだこと
　　　あったんだけど、最近、また、この『本』を出してたので、
　　　見舞いの行き帰りに、『はじめに』と『あとがき』、それと
　　　第６章と第７章を読んだよ」

　　「それで、ナラトさんは、どうなんですか？」

　　「ああ、ボクは、この『近藤説』のほうが、自分にあってると
　　　思うのだが・・・」

　　　　　