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2014年08月23日20:51

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【音楽】 高良仁美による伊福部昭ピアノ作品集

また、伊福部昭のCDを購入した。「キリがないので、伊福部昭のCD購入は控える」と書いたような気がするが、そのあと何枚買ったことか(笑)。だって、「これは聴かずにはいられないだろう」というようなものばかり出るんだもの。

買ったのは、高良仁美による「伊福部昭ピアノ作品集」の2枚組CDである。伊福部のピアノのオリジナル作品は「ピアノ組曲」くらいで、あとは管弦楽作品の編曲やピアノ・リダクション版があるくらいで、大体は聴いているが、このCDの収録曲は何だろうと店頭で手に取って見たら、気付いたらもうレジへ持って行って買っていた(笑)。(ちなみに、「ピアノ組曲」も、のちにオーケストレーションされて管弦楽作品「日本組曲」になっている。)


収録曲は次のとおりである。

【CD1】
・ピアノ組曲(盆踊/七夕/演伶/佞武多)
・映画音楽「佐久間ダム」
・映画音楽「その壁を砕け」 No.7
・日本狂詩曲(夜想曲/祭)
・映画音楽「二人の息子」 No.24

【CD2】
・バレエ音楽「盆踊り」(七夕/演伶/佞武多/夜想曲/祭/ティンベ/盆踊)
・映画音楽「渚を駆ける女」 No.7
・SF交響ファンタジー第1番(石丸基司編)
・聖なる泉


映画音楽でのピアノソロの曲も収めており、バレエ音楽「盆踊り」も入っている。このような「幻の作品」まで新たに発掘されて録音されているのだから、聴かない訳にはいかない。

早速聴いてみたが、なかなかいいね。高良仁美は沖縄出身のピアニストで、北海道出身の伊福部と対極にあるようだが、野趣あふれる伊福部節には案外合うようだ。1曲目の「ピアノ組曲」からして素晴らしい。「日本」といいながら、釧路で生まれて幼少時にアイヌに接した伊福部と、沖縄出身の高良は、ともに「中央」とは違う感覚も持っていることが共通しているのかも。

「佐久間ダム」のピアノソロは、この前7/21に「伊福部昭百年紀コンサートVol.2」で生でも聴いた「緑の湧水」の場面の美しい曲だ。「その壁を砕け」、「二人の息子」、「渚を駆ける女」は、音楽はもちろん映画自体も観ていないので全く初聴きの曲だ。伊福部の映画音楽は、管弦楽は「ゴジラ」に代表されるような、重厚な曲や快活なアレグロが多いが、ピアノ曲はしみじみとした曲が多いかもしれない。映画ではどんな場面に使われているのだろうか。

「日本狂詩曲」は管弦楽版でもピアノ版でもすでに聴いたが、このCDの演奏も素晴らしい。その「日本狂詩曲」と「ピアノ組曲」、さらに「土俗的三連画」を題材にした「盆踊り」は、伊福部の師であるチェレプニンとの共作となっている。伊福部オリジナル作品に、チェレプニンが太鼓を加えて編曲したもののようだ。(したがって、この曲の演奏には太鼓が加わる。) おなじみの伊福部曲に、ちょっとチェレプニン風の味付けがしてあるという感じで、これはこれで面白い。4曲目「夜想曲」と7曲目「盆踊」に太鼓が加わるけど、オリジナルではピアノだけで太鼓の雰囲気まで出しているんだよね。「夜想曲」と「祭」は伊福部編曲とは違うチェレプニンの特徴が出ているので、おそらくこの2曲はピアノもチェレプニン編曲だろうと推定されているらしい。他の曲も明らかに違う部分があるが、出版前の初期稿に基づいたものらしく、微妙な違いを聴き比べることが出来るのもいい。

「SF交響ファンタジー1番」のピアノ編曲は、石丸基司によるものだ。おなじみの「ゴジラ」を含めて、この曲をピアノで聴くのは初めてだが、これも面白い。もっとも、「ゴジラ」の雰囲気を出すには、やはり重厚な管弦楽には及ばないように思う。

「聖なる泉」は、「モスラ対ゴジラ」に登場する名曲をハープ用に編曲したものをピアノで弾いたもの。この曲もいろいろな編曲があるようだけど、ピアノもいいね。

このCDも買って正解だ。(というより、最近買った伊福部昭のCDにハズレなし)
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