mixiユーザー(id:1040600)

2014年08月23日12:07

25 view

■獺狐余話(17) / 「素数ゼミ」の話(4)

●2014年08月23日(土)  晴れ ときどき 曇り

 ▼「キツネくん。

   北の空、見てごらん・・。

   また、晴れてきて、白い、入道雲が出ているよ」



  「ああ、ほんとうだ。

   高いところには、筋雲もありますねー。


   ベランダのほうは

   低い雲がおおっていたのに・・・。

   これだったら、洗濯物は、まだ取り入れなくて

   いいですネ」



 ▼「ナラトさん。

   これ、見て・・!


     






   機嫌は、上々ですか・・?」



 ▼「キツネくん。

   きみも、なかなかじゃないか・・。

   どこから見つけてきたんだ、・・・、・・・、


   きみも、やさしいヤツなんだ・・」



  「まあ、いろいろあらーな、って事っす・・」


  「そうだね・・」




 ▼「キツネくん。

   まあ、そうゆうことで、『氷河期』というのは、どんな生き物にとっても

   試練の時だった。


   神はその人にとって耐えられない試練というものは、

   お与えにならない、と言うが、決してそうでもないんだ。


   正しいから生き残る、間違っていたから滅亡する、

   そういう事でもないんだ・・」



  「正しくても、間違っていても、

   神は、等し並に絶滅させることもあるんだ・・」



 ▼「えーっ、ナラトさん。   

   神って、そんなもんなんですか?」




  「ああ、旧約聖書に出て来る神は、生かすも殺すも

   神のみこころ、人知は及びがたしだよ・・。


   こうなってくると、他力にも近いものがあるし、

   イスラムの「インシャラー(神の御心のままに)」にも、

   ビートルズの「レット・イット・ビー (Let It Be)、

   (あるがままを あるがままに 受け入れる)にも、

   通じるものがある。


   そして、それは、「なんとかなるさ」という意味にもなる。


   日本語では、『なるようになる』ってことさ・・」




 ▼「ナラトさん。ナラトさん。

   『氷河時代』から話がずいぶん、それてきていませんか・・」



  「ああ、そうだね。

   じゃあ、ちょっとスピードアップして、もとの

   『素数ゼミの謎』にもどろう」


 

 ▼「『氷河期』にセミの仲間たちは、土中で成虫になる時期を待つわけだが、

   2年で成虫になれるセミや、3年で成虫になるセミや、成長速度によって

   いろいろのセミがいたと思う。


   そして、いままでは、1年のサイクルで、春夏秋冬の気温の変化に

   あわせて暮らしきたが、セミの仲間たちは暑い夏になっても、地上に

   出ることはなく、ひたすら、乏しい食糧に耐え、温度上昇によって

   地上に這い上がっていきたい欲望を抑え、自分の体力を蓄えた」




 ▼「これは言い方を変えると、いままで、『温度』を頼りに生活していた

   考え方を、これからは、『時間』を頼りに生活していく、という思想に

   考え方を改めた、ということなんだ」


  「もし、体力もないまま、『温度』に迷わされて地上にあがろうとしたら

   地上に出るまであいだに、力つきて死んでしまうことになるからだ」



  「こうやって、セミは、自分の成長を待つ、ということと、

   『時間』を測るという能力を身につけていったんだ。


     
フォト

       「温度スイッチ」から「時間スイッチ」へ




 ▼「しかし、問題はまだあった・・。

   と言うのは、同じ、同一種のセミの仲間でも、成長の早いヤツと遅いヤツが

   いる。 それで、その成長速度によって、いくつかのグループができたと

   しよう。



   たとえば、17年周期の素数ゼミの場合、15年周期や16年、17年、

   18年周期のグループに分かれたとする・・・」


     
フォト




 ▼「すると、どんな事が起こってくるか・・・?」


    
フォト

    周期の違う仲間との間で交配が起きる・・

 


 ▼「たとえば図のように、15年周期のセミと18年周期のセミが、たまたま

   同じ年に、地上に出てきたとする。

   すると、15年周期のセミは、15年周期のオス・メスで交尾し、

   18年周期のセミは、18年周期のオス・メスとだけ交尾するかというと、

   そうじゃない・・。


   15年周期のオス・メスは、18年周期のメス・オスとも交尾するんだ。

   「交雑」というんだが、まあ、人間でいえば、日本人の男・女が、

   スウェーデンの女の人や、男の人と結婚して、子供ができた、と思えばいい」




 ▼「そうすると、遺伝子情報の中は、日本人にあってスウェーデン人にないもの、

   逆に、スウェーデンにはあるが日本人にはない遺伝子情報というのがあり、

   それらの遺伝子情報が入り混じった子供が生まれる。


   いわゆる『ハーフ』である。


   交雑は、日本人のすぐれた遺伝子情報と、スウェーデン人のすぐれた遺伝子情報が

   ともに現れ、いわゆる北欧美人で、バイキングの末裔である背の高い子供が

   生まれたりする。




 ▼「蛇足だが、『優生思想』といって、かつてのナチスの「人種差別」と同じように、

   人種間の優劣を問題にし、交雑をなるべくせず、回避しようとする考え方がある。



   残念ながら、セミの仲間は、まさに『交雑をもっとも嫌う』生き物なんだ」





  ▼「しかし、それには、理由があり、しょうがないことなんだ。



   周期セミにおいて、周期の異なるセミと交わることは、すぐさま、

   自分たちの周期の仲間の数を減らす、ということを意味しているからだ。




   15年周期のセミと、18年周期のセミとが交わると、

   15年周期ゼミ同士や、18年周期ゼミ同士が交尾した場合と比べれば、

   当然の事、

   15年周期のセミばかりが生まれたり、

   18年周期のセミばかりが生まれる、
   
   ということがないから、結果として、

   15年周期のセミも、18年周期のセミも、

   ともに自分たちの仲間の数を減らす、ということになる」



 ▼「したがって、セミのとって一番大事なことは、

   自分たちと異なった周期のセミと、

   地上に出た時に、でくわさないこと。


   これが、生き延びるための、最大の戦略となるわけだ」




 ▼「ところで、キツネくん。

   動物でも、植物でも、群れをなすものと、単独行動をるヤツと

   ふたつの流れがあると思うけど、キツネくんは、どっち・・?」


  「オレの主義としては、一匹オオカミじゃなくて、一匹ギツネちゅうか、

   個人の自由が最も大切で、単独行動主義になるんでしょうか・・?」



  「まあ、個人・個体としての主義・主張というものは、あるんだが、

   その種・その仲間というのには、それぞれに、群れをなす種と、

   なさない種がある。」




  「セミはその点、はっきりしている。

   『集団至上主義』とでも言うべき性格をもっている!」



 ▼「へぇーっ、そうなんですか。

   『集団至上主義』・・・? 」



  「キツネくん。

   それは、すぐ理解できると思う・・。

   セミは、土の中で何年か幼虫で暮らしているため、せーの、で

   一斉に地上に出て、せーの、で、

   せっせ、せっせ、と交尾して、自分たちの仲間を大量に増やす方が

   たとえ、鳥たちに食われたとしても、種としては生き残れるからね・・」


     
フォト

        「集団至上主義」の効果



 ▼「周期についても、多数派と少数派があったとしたら、絶対に

   多数派にならないと損だと、セミは思うのだ。


   ひそれも、そのはず、少数派になったり、仲間とタイミングを合わせる

   ことに失敗すれば、こんな事が起きる・・・」


     
フォト




 ▼「それから、セミがよく、同じ木に集まってきて鳴いているのを、

   見たことがあるだろう・・」



  「ええ、ナラトさんの管理していたマンションの、前の映画館のところに

   あるケヤキの大木、あそこにクマゼミの大群衆が鳴いていました・・。


   そりゃあ、もう、話し声も聞こえないくらいの大音響で、滝のような

   『セミの大滝』とでもいうべき轟音でした」



   
フォト

   



 ▼「セミの『集団至上主義』は、『事なかれ主義』も生む。

   もし、冒険心があって、ほかの場所にメスを探しにいくオスは

   飛んで行っても、誰もいないことが多い。

   そうすると、新地開拓をするよりは、とにかく仲間の声のする方に

   飛んでいく方が、『交尾の確率』は確実に、向上するからね・・」


   
フォト


 

 ▼「ああ、ついでに、ボクの間違いも訂正しておいたほうが、いいかも・・。



   いつかの『日記』で、オスのセミが鳴くのは、メスを呼ぶためか、

   それとも、自分の縄張りを他のオスに知らせるためか・・、

   という問題で、オスが鳴いているところにメスがやってきて、交尾する

   ところを見たことがないので、『縄張り説』を採用したのだが、それは

   どうも誤りらしい。


   セミは、オス・メス関係なく、オスの鳴き声頼りにオスもメスも

   集まってくるんだ。 まあ、やっぱり、声の大きいヤツの所に集まるのか、

   まあ、みんなが集まれるだけの広さとか、安全に交尾できるとか、

   まあ、いろんな条件があるだろうけど・・」




 ▼「さあ、さて、キツネくん。

   ここからが、いよいよ『素数ゼミ』の『素数ゼミ』たるゆえん

   の『話』になるんだが、

   『素数』って、どんな数字なんだろう・・?

   キツネくん」



  「ほら、また、オレに質問するーぅ・・・。

   オレに質問するのやめてください・・」


  「じゃあ、『アルバム』の絵を見て、考えてみたら

   どうだろう・・。

   『アルバム』の絵は、『素数の不思議』について、つまり

   『素数ゼミの誕生の秘密』を描いているんだが・・。


   それじゃ、これは『宿題』ということにしよう・・」



 ▼「ナラトさん。

   ナラトさん。


   勝手にひとりで、決めないでください・・・」

 

    
フォト



   ★★★  ★★★  ★★★  ★★★  ★★★

 ▼「音楽掲示板」案内 ―――― 2014/08/23
  ―― " Music is Love in search of a word. " ――――――――――― 
  ムード音楽掲示板
  ムードきょうの一曲!(動画)」 次項有(listen) ←8/23「鮨屋で / すぎもとまさと」
  ムードきょうの一曲!号外」 次項有(sample)
  ムードもっと音楽を!
  ムードBGMチャンネル」 1/2/3/4/5/6/7/8/9/0
   ※ BGM・ラジオ局 「0ch」(20ch) 近日中 更新予定   
  ――――――――――――――――――――――――――――――――
  ■yahoo案内
   「ホームページ」「naratoブログ」「楢門二樹ブログ」「音楽掲示板」「詩人インデクス
  ――――――――――――――――――――――――――――――――
  ■「音楽ブログ」案内
    ※ 「音楽ブログ(1)」 :楢門二樹ブログ/「きょうの一曲!」
    ※ 「音楽ブログ(2)」 :naratoブログ/「BGM / ラジオ局」
    ※ 「音楽ブログ(3)」 :キツネのブログ/「次の一曲!(候補曲)」
  ――――――――――――――――――――――――――――――――
  ■新「narato スペシャル」案内
    ※ 新「narato スペシャル」 :
    「他力思想への視座 ―― 植木等のスーダラ節」 山本伸裕 (東京大学 特任研究員)
  ――――――――――――――――――――――――――――――――
 

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する